
韓国のがん患者の約8割が、初めてがんの診断を受けた後、別の病院を訪れていることがわかった。診断への不信や、より優れた治療法を求めて病院を変える「命懸けの選択」が日常化している実態が明らかになった。
患者専門のリサーチサービス「Listen to Patients」が7月22日に公表した調査結果によると、20代から70代のがん患者およびその保護者140人を対象に、がん診断後に訪れた病院の数やその理由などを問うアンケートが実施された。
調査は2025年5月22日から7月15日まで実施され、「がんと診断された後、治療を始めるまでに何カ所の病院を訪れたか」という問いに対し、「1カ所のみ」と回答した患者は全体のわずか20%だった。残りの80%は「2カ所(50%)」「3カ所(23%)」「4カ所以上(7%)」と、複数の病院を訪問したと回答した。
その主な理由としては「初診の診断が正確かどうかを大病院の専門医に確認したかった」(84%)、「より良い治療法や最新治療を提供する病院を探したかった」(83%)が挙げられた。また、「初診の病院で上位病院での追加検査を勧められた」(58%)、「手術や治療の開始が遅すぎるため、早期治療を望んだ」(26%)、「医師の説明が不十分と感じた」(19%)との声もあった。
患者が最終的に治療先として選んだ病院の基準については「医師の丁寧な説明と信頼感」(59%)が最も多く、次いで「病院や医師の名声」(51%)、「診療・治療開始までの待ち時間」(34%)、「アクセスのしやすさ」(31%)が続いた。
一方で、複数の病院を回る過程での困難としては、「検査や診断の繰り返しによる負担」(67%)、「時間的負担」(59%)、「心理的ストレス」(49%)などが挙げられている。
韓国白血病患者会のイ・ウニョン共同代表は今回の調査結果について「がんの診断は、患者にとって生存に直結する決断の始まりだ。複数の病院を訪れるのは単なる病院移動ではなく、命を守るための熟考のプロセス」と評価した。
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