2025 年 7月 4日 (金)
ホーム社会「Tシャツ1枚が1万円、返品不可」…行き過ぎた商魂に韓国の消費者が怒り

「Tシャツ1枚が1万円、返品不可」…行き過ぎた商魂に韓国の消費者が怒り

ソウル・明洞の通り(c)news1

「欲しかった春用のノーブランドのコートが20万ウォン(約2万2000円)だと言われました。デザイナーズブランドのTシャツは1枚10万ウォン(約1万1000円)もして、“オーダーメイド”だから返品不可だって。百貨店の服でもないのに、腹が立って買うのをやめました」

ソウル在住のある会社員(32)は先日、ネイバースマートストアで春物を購入しようとしたが、価格の高さに断念した。かつては百貨店で買えた価格で、今やノーブランド服しか手に入らない状況に、「怒りが込み上げた」という。

「この金額ならデザイナーズブランドを買うべきか? それとも百貨店の服を買うべきか? そう考えてたらイライラして、結局何も買わなかった」

ノーブランド服は既製品であるにもかかわらず、「注文後製作」の名目で交換・返品不可とし、配送にも3週間以上かかるとの説明が多い。これは在庫を抱えないための手法だが、そのリスクを全て消費者に押しつけているとの批判が相次いでいる。

物価全体が上昇しているとはいえ、最近の韓国アパレル市場では価格だけが急騰し、サービスの質は低下しているとの不満が広がっている。「昨日までノーブランドだったショッピングモールが、突然“デザイナーズブランド”と名乗って価格を吊り上げているのに、サービスは変わらない」。こんな嘆きまで出ている。

ファッション好きで、月給の半分を衣類に使うというソンさん(35歳)は最近、オンラインのデザイナーズブランドやノーブランド服の購入をやめた。「価格が高すぎて差別化が消えたのに、サービスも品質も百貨店のレベルに全然達していない。何度か洗濯しただけでダメになるようなTシャツが、高額で売られ、“ドライクリーニングで管理しろ”なんて指示をするブランドやショップが多すぎる。むしろ昔の“メイカー”ブランド(海外有名ブランド)の服のほうが質が良い」

SNSでも「昨日までノーブランドだったブランドが、白人モデルを使い、混紡率を少し改善しただけで、価格を20万ウォン以上に跳ね上げている」という投稿に1300件の共感が集まった。

◇7日以内であれば返品・交換可能

多くのノーブランドショップやデザイナーズブランドが「受注後製作」を理由に配送期間を延ばし、返品や交換を拒むケースが増加している。しかし、これは電子商取引法第17条に反しており、購入後7日以内であれば返品・交換が可能だ。

韓国消費者院も「サイズや素材がすでに決まっている既製品に近い商品なら、『注文製作』と主張しても返品・交換の対象になる」と指摘している。

このような現状から、中古のヴィンテージショップや、アリババ系「アリエクスプレス」や「テム」といった格安ECサイトを利用する消費者が増加している。「品質の良いヴィンテージは、安価なノーブランド服よりずっと良い」(利用者)という理由だ。

また、SPA(製造から販売まで垂直で統合)ブランドのセールやシーズンオフを狙う人も多い。

「最近、洋服一着が7万ウォン、10万ウォンなんて当たり前。SPAブランドのセールを待つしかない。デザイナーズブランドでもノーブランドと質は変わらないのに、高額で買う意味が見いだせない」。ある消費者はこう嘆く。

仁荷大学消費者学科のイ・ウニ教授は「ノーブランド服はトレンドに敏感でユニークさが売り。しかしブランド力がないため、価格は安くあるべきだ。消費者の欲望を巧みに利用し、販売業者が価格を不当に吊り上げているのが問題」と批判する。

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