
新薬開発や病理学、農業技術研究に欠かせない存在である「実験動物」。2024年1年間で韓国国内の医療機関や研究機関、一般企業などで使用された実験動物は459万2958匹にのぼる。マウスやラット、ウサギ、サル、犬、猫、ブタ、鳥類、魚類など、使用目的に応じて多様な種が動員されている。
科学技術の進歩により、人工臓器やコンピューター予測モデルを用いた「動物代替試験」の試みも進んでいるが、現段階ではまだ限界が多い。特に新型コロナウイルス感染のパンデミック時、ワクチンの早期開発には実験動物の貢献が不可欠だった。
ソウル市瑞草区にあるカトリック大学医生命産業研究院の実験動物研究室は、世界的水準の施設と管理体制を備え、2018年に国際実験動物管理評価認証協会(AAALAC International)から認証を受けた。2025年7月には3回目となる「完全認証」のための実地調査を終えた。
この施設では現在、6197のケージに2万1001匹の動物が飼育されており、うちマウスが2万335匹、ラット624匹、ウサギ40匹、イヌ2匹。最新の飼育・分析設備、手術室、映像機器、特殊実験室なども完備されている。
実験動物研究において倫理的な配慮は欠かせない。カトリック大学では2008年に農林畜産検疫本部へ動物実験倫理委員会(IACUC)を登録。実験の科学的妥当性と動物福祉の観点からすべての実験計画を事前に審査して承認する仕組みを導入している。
IACUCは獣医師や外部専門家、非科学分野の一般人を含む構成員によって定期的に会議を開催し、実験中の倫理的逸脱を監視する。違反が確認されれば、実験中止や研究者への調査指示、場合によっては実験室への出入り制限まで科すことができる。
現在、韓国国内でIACUCを設置・運営する機関は556カ所に上る(国公立81、大学129、医療機関38、企業308)。2024年には計4万3090件の実験計画が審査され、うち3万3207件が原案承認、7380件が修正後承認、2193件が再審査、310件が不承認となった。
また、カトリック大学では毎年、動物実験で犠牲となった動物たちを慰霊する「実験動物慰霊祭(A Memorial Day)」を開催しており、動物の命に対する敬意と研究者の倫理意識向上を図っている。
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