世界で約5億人を占めるスペイン語使用者のに世論形成において、ロシアメディアの影響力が米国メディアをしのいだ。
非スペイン語圏メディアの「外国語サービス」としてのスペイン語放送では、これまで米CNNや米政府系放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)、英BBCなど西側メディアの影響力が高かったが、最近はロシア国営放送RTとスプートニク通信がスペイン語圏の読者との相互作用を繰り返しているという分析が出ている。
米外交専門誌フォーリンポリシー(FP)は9日、「ロシアがウクライナ関連のスペイン語電波を掌握した」という見出しの記事で「クレムリン(ロシア大統領府)が所有する(ニュース)アウトレットがスペイン語の使用者との情報戦争で勝っている」と報道した。
シンクタンク「ジャーマン・マーシャル財団」(GMF)系列のグループが関連データを基に分析した結果、ロシア国営RT放送のこの1年間、読者との相互作用は2400万件で、VOA(250万件)を大幅に上回っていることがわかった。RTスペイン語放送は、映像コンテンツでも4000万件の相互作用を記録した。スプートニク通信スペイン語サービスも400万件でVOAより高かった。
最近、ウクライナ関連のスペイン語サービスの報道でも、この2週間、ロシアメディアが受けた読者の相互作用が、米メディアの3倍に達していることがわかった。米国の安全保障問題を扱う宣伝会社によると、ロシア国営メディアは先月末、ウクライナ関連の動画、記事、ソーシャルメディアのコンテンツなど1600件の掲示物を掲載し、17万3200件の「いいね」「共有」「コメント」などを掲載した。
FP報道は、ウクライナ関連を中心にロシア宣伝報道の影響力が高まる場合、対ロ報復への支持を引き出すことが難しくなると警告している。
冷戦時代、米国と旧ソ連の競争は中南米でも続き、キューバとベネズエラ、ニカラグアなど中南米の左派国家はまだロシアと深い関係を維持している。ロシアの影響力が米国内のヒスパニック・コミュニティーにも浸透し、米国の選挙に影響を及ぼしかねないという点もFPは指摘した。
©news1