
韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領の弾劾審判の宣告を2日後に控え、韓国は再び「審判の日」を目前にしている。大統領の復職であれ罷免であれ、その結果が国論分裂の終わりではなく、より深い対立の始まりになるかもしれないという懸念が高まっている。政治の重鎮や専門家らは2日、政治指導者たちが憲法裁の決定を無条件に受け入れ、社会統合のメッセージを発信すべきだと口を揃えた。
憲法裁の宣告を前に、政界はもちろん国全体が弾劾の賛否で極度に対立している。いまだに勝敗を受け入れる意志を明確にしていないユン大統領に対しては、国民と国家のために憲法裁の宣告前に「受け入れ宣言」をすべきだという声が高まっている。最大野党「共に民主党」のイ・ジェミョン(李在明)代表もこの日、公式の会議の場で勝敗受け入れについての言及はなかった。党内では「不服」発言すら出ており、イ・ジェミョン代表の明確な立場表明が求められる。
憲法裁への不信感も無視できない。先月27日に発表された全国指標調査(NBS)によると、憲法裁の弾劾審判手続きに「信頼できない」と答えた人は40%に達した。国民のほぼ半数が憲法裁の公正性に疑問を抱いていることになり、これは宣告後も議論が続く可能性を示している。
昨年末の非常戒厳令と弾劾事態に続き、共に民主党は首相のハン・ドクス(韓悳洙)大統領権限代行まで弾劾した。この間、トランプ米大統領による米国優先主義政策と北東アジアの安全保障不安が重なり、危機は一層深まった。
◇朝鮮戦争以降最大の危機…政治指導者の責任が切実
キム・ヨンサム(金泳三)政権で保健福祉相や京畿道知事などを歴任したソン・ハッキュ(孫鶴圭)東アジア未来財団常任顧問は「韓国は朝鮮戦争以降、最大の危機に直面している」と診断したうえ「政治指導者たちは国民を説得し、憲法裁の決定を受け入れて団結と統合の政治へと進まなければならない。国際情勢も不安定な中、国内の団結が必須条件だ」と強調した。
イ・ミョンバク(李明博)政権時に特任長官を務めたイ・ジェオ(李在五)民主化運動記念事業会理事長も「国家が困難な時こそ、与野党や左右を超えて国民統合が最も重要な徳目だ」として、政界に責任ある姿勢を求めた。
法曹界からも政治家の「勝敗受け入れ宣言」を求める声が上がった。ソウル中央地方裁判所長、憲法裁所長を歴任したイ・ジンソン(李鎮成)弁護士は「ユン大統領と与野党のすべてが憲法裁の決定を尊重し、今後の手続きを法治主義の原則に則って進めるべきだ」と述べた。
学界でもリーダーシップと責任論が提起された。
ノ・ムヒョン(盧武鉉)政権で政策企画委員長(閣僚級)を務めたハン・サンジン(韓相辰)ソウル大名誉教授は「現在のように国論が分裂し、極端に陣営が分かれたことはこれまでになく、過去の軍部独裁や通貨危機の時よりも深刻な状況だ」と語った。
ハン・サンジン氏は「結果がどうであれ、憲法裁の決定を受け入れるという立場を明らかにすることが、政治指導者としての基本的な責務・礼儀だ」と指摘した。また憲法裁にも「決定文には法理的な内容だけでなく、社会統合のためのメッセージも盛り込むべきだ」と提言した。
◇陣営対立を越えて…「謝罪と統合」が指導者の責務
韓国政党学会長を務めたソウル大政治外交学科のパク・ウォノ教授も「政治的リーダーシップがこれまで以上に重要な時期。ユン大統領は今からでも真心のこもった謝罪をすべきだ」と語った。さらにパク教授は「国民の力も遅ればせながら、今からでも支持層を説得して統合へ導くリーダーシップを発揮すべきだ」と述べた。
明知大政治外交学科のシン・ユル教授は「大統領が勝敗を受け入れなければ、韓国の制度を無力化させる人物として記憶される可能性がある。与野党ともに結果に関係なく勝敗を受け入れると宣言すべきだ。そうしてこそ政党としての存在意義を守れる」と語った。
龍仁大のチェ・チャンニョル特任教授も「大統領本人が憲法裁の決定を受け入れなければ、法治主義そのものが崩壊する。それは民主主義を放棄することと変わらない」と警告した。
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