
ある日本企業(本社・東京)が韓国の美容ユーチューバーとその所属事務所を相手取り、3億3100万ウォン(約3700万円)の違約金を支払うよう求めた訴訟で、ソウル中央地方はこのほど、請求を棄却した。契約上、専属的管轄裁判所が「東京地裁」になっているためだ。
同社は2023年2月、ユーチューバー側と「同年5月に約300人規模・1泊2日の日程で開かれるイベントに講師として出演する」ことで業務委託契約を締結した。契約金は500万円で、そのうち250万円は前払いされた。残額はイベントの3日前までに支払うことになっていた。
しかし、ユーチューバーが新型コロナウイルスに感染したため、当初予定どおりの実施が困難となり、双方は2023年8月6日へと延期を決定した。ところがユーチューバーは開催3日前の8月3日、後遺症を理由に再び不参加を通知した。
これに対し同社は、前払い金と、イベント準備に要した経費の2倍を加算した総額3億3100万ウォンの支払いを求めて提訴した。
だが裁判所は「当事者間の契約書には『本契約に関するすべての紛争や訴訟は東京地裁を第一審の専属管轄裁判所とする』と明記されている」と指摘。さらに、イベントの実施場所と対象が日本で、原告の主たる事務所も日本にある。証拠資料のほとんどが日本語で作成されている点などから、「日本の裁判所が管轄権を持つのが合理的」と判断した。
このユーチューバーは2015年からメイク関連動画を投稿し始めた「第1世代」美容ユーチューバーで、登録者数は数百万人に上る。著名歌手のメイクアップを担当した経歴もあり、美容業界で広く知られている人物という。
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