2025 年 7月 9日 (水)
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「3万ドルの壁」越えられぬ韓国の国民所得…4万ドル実現へ科学・IT育成がカギ

GNIの推移(c)news1

韓国の1人当たり国民総所得(GNI)が3万ドル台に留まって12年が経過する中、4万ドル達成の鍵として、科学技術産業や情報通信(IT)など高付加価値サービス産業の育成が必要との提言が出た。

7月7日に発表された国家統計研究院の報告書「大韓民国、サービス産業へ」によると、2021年時点で韓国の国内総生産(GDP)に占めるサービス業の比率は59.4%で、経済協力開発機構(OECD)平均の70.1%を10.7ポイント下回っていた。米国(77.6%)や英国(79.3%)と比べても大きく劣っており、韓国経済が先進国型へと転換するにはサービス業の強化が不可欠であることを示している。

韓国の産業別付加価値比率は2023年時点でサービス業が63.0%、鉱工業が27.7%となり、1993年と比較するとそれぞれ9.7ポイント、0.1ポイント増加した。

統計庁経済統計企画課のイム・ギョンウン課長は「サービス業中心の産業構造は先進国に共通する特徴であり、韓国もその方向に進んでいる」と分析する。

しかし、米国との比較では、不動産(-5.5ポイント)、専門・科学(-1.9ポイント)、情報通信(-0.9ポイント)、業務支援(-0.8ポイント)といった高付加価値サービス分野の比率は低く、反対に教育(+6.0ポイント)、卸小売(+0.7ポイント)、宿泊・飲食(+0.4ポイント)、保健福祉(+0.3ポイント)などでは韓国が上回っている。

イム・ギョンウン課長は「韓国では小売・飲食など一部業種に非賃金労働者が多く、ITや専門科学分野のサービス業が育っていない。高付加価値化には依然として課題が多い」と指摘する。

こうした構造が1人当たりGNIの足踏みの要因にもなっている。韓国は2012年に初めて3万ドル台に到達したが、2024年時点で3万6745ドルと、12年間、4万ドルの壁を越えられていない。

一方、米国は情報通信技術や科学技術を軸とした高付加価値サービス業の成長で、2000年に3万ドルに到達した後、7年で4万ドルを突破。英国も法律・金融などの専門サービス分野の成長により、3万ドル到達からわずか2年で4万ドルを達成した。

最終需要が付加価値創出にどれだけ寄与したかを示す「付加価値誘発係数」においても、サービス業は0.889と、工業製品(0.668)、鉱産品(0.876)、建設(0.833)より高かった。つまり、同じ投資額でもサービス業の方がより多くの付加価値を生む傾向があるということだ。

イム・ギョンウン課長は「デジタル転換を活用したサービス業の高付加価値化、業種間の生産性格差の解消、サービス業と製造業の融合促進などが求められる。韓国も米英のように国家競争力を高め、サービス業中心に経済の成長速度を上げることで、国民所得4万ドル達成を目指すべき時期だ」と強調した。

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