
昨年デビュー10周年を迎えた韓国のアイドルグループ「EXO(エクソ)」のベッキョン、シウミン、チェンの3人が“奴隷契約”を主張し、SMエンターテインメントに専属契約解約を通知した。SMは「アーティストを愛するファンの期待に応える姿をお見せできるよう努力する」としているものの、円満解決に持ち込めるか予断を許さない。

◇「20年以上も優越的地位」
STARNEWSによると、3人の代理人であるイ・ジェハク弁護士は「SMは12~13年という長期契約をアーティストと締結した後、再び専属契約書に捺印させ、17~18年といった契約を主張している。不当な契約が繰り返されているのだ」と指摘している。
練習生の期間も含めれば、SMは20年以上も優越的地位にあることになり、イ・ジェハク氏は「アーティストたちはSMに“奴隷契約”を強要されたと感じている」と主張している。
これに対し、SM側は「外部勢力が当社所属アーティストに誤った判断をさせ、専属契約に違反したり二重契約を締結したりするよう誘導している」と反論している。

◇「H.O.T.」「東方神起」の前例
SMのこうしたアーティストとの紛争は初めてではない。
2001年、国民的人気を誇っていたアイドルグループ「H.O.T.(エイチオーティ)」は「契約が公正ではない」としてSMと対立した。イ・ジェウォン、トニー・アン、チャン・ウヒョクはチームを脱退して別の事務所に移籍し、グループ「JTL」を結成した。ムン・ヒジュンとカンタはソロ歌手としてSMに残ったものの、グループは事実上、解散となった。
2009年には「東方神起」の一員だったジェジュンとパク・ユチョン、キム・ジュンスが「13年もの長期契約や、SMの公正でない契約で被害を受けた」として、専属契約の効力を停止するよう裁判所に仮処分を申請した。
これに対し、SMは翌年、契約有効の確認と、活動中断で生じた損害22億ウォン(約2億3800万円)の支払いを求める訴訟を起こして対抗した。
法廷闘争は3年4カ月に及んだが、結局、任意調停で決着した。80万人に達するファンクラブの会員数を誇った東方神起の5人は、3人組ユニット「JYJ」と、2人組の「東方神起」に割れた。
この争いは大きな波紋を呼び、芸能人と事務所が結ぶことのできる契約期間を最大7年と規定した標準契約書が導入される運びとなった。

◇ノ・ミヌは主張を認められず
2015年には俳優で歌手のノ・ミヌがSMを相手取り1億ウォン(約1083万円)規模の損害賠償請求訴訟を起こした。当時、ノ・ミヌは「一方的な専属契約延長の合意により、計17年に達する専属契約を締結させられた」と主張した。
また、SMに抵抗しようとすると、その時点からSMはマネジメント会社としての支援活動をすべて停止した▽SMから離れて独立して活動を始めると、すべての放送局に働きかけてノ・ミヌの出演を阻止した――などと主張し、自身は「SM式報復」の最初の被害者だと訴えた。
だが、裁判は最後までもつれ、最高裁は「主張を認める証拠がない」としてノ・ミヌの敗訴を言い渡した。
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