2025 年 5月 15日 (木)
ホーム経済流通「1000ウォン商品で4兆ウォン」“生活密着型”韓国ダイソー…頂点か?成長の始まり?

「1000ウォン商品で4兆ウォン」“生活密着型”韓国ダイソー…頂点か?成長の始まり?

ソウルのダイソー店舗(c)news1

「均一価格」と「高コスパ」を武器に拡大を続けてきた韓国の生活雑貨チェーン「ダイソー」が、昨年過去最高の売り上げと営業利益を記録した。不況とインフレという経済逆風が、むしろ消費者の支持を呼び込み成長を加速させた形だ。だが業界内では、今後もこの勢いを持続できるかどうかは、価格だけでなく「品質」と「体験価値」の両立にかかっているという声も多い。

ダイソーを運営するアソンダイソーの2024年の売り上げは3兆9689億ウォンで前年比14.7%増。営業利益は3711億ウォンで前年比41.8%増と、いずれも過去最高を更新した。

2020年には売り上げ2兆4216億ウォン、営業利益1738億ウォンだったことを考えると、4年間で売り上げ・利益ともに約2倍に成長したことになる。実店舗小売業が全体として低迷するなか、異例の好調ぶりだ。

特に注目されるのは営業利益率で、2024年は9.35%を記録。イーマート(0.16%)やクーパン(1.46%)と比較してもはるかに高く、優れたコスト管理と高い利益率を誇っている。

「安さ」がダイソー成功の最大要因だ。物価高と景気低迷で財布の紐を締める消費者が、品質を一定程度保ちつつ低価格の商品を求める中、ダイソーは「500~5000ウォンの6段階価格設定」という均一価格政策で支持を集めた。

この価格帯は学生や若者ら購買力の低い層もターゲットにでき、ブランドイメージ強化にもつながっている。また原価の低い商品であっても、販売価格が固定されているため高い利益率を確保できる仕組みだ。

商品カテゴリーの拡大も成長に寄与している。特にビューティー、ファッション、食品など高利益率商品に進出し、昨年は化粧品売り上げが前年比144%増、衣類も34%増を記録した。最近では健康機能食品にも進出している。

さらに、来店客1人当たりの平均購入額(客単価)も増加傾向にある。モバイルデータ企業IGAWorksによると、2024年の年間平均客単価は1万7400ウォンで、2021年の1万5192ウォンから約14.2%上昇した。

ただし、今後のカギもやはり「コストパフォーマンス」にある。消費者が「そこそこの品質を安く買える」ことを期待して来店する中、品質への信頼が損なわれればリピーターを失う可能性もある。過去にはベビーバスや紙ストロー、人形などで有害物質が検出されたこともあり、品質管理が課題となっている。

また、均一価格政策も“諸刃の剣”だ。納品業者にとってはコストを6つの価格枠に合わせなければならず、品質維持が難しくなるケースもある。物価上昇が続く中で価格改定の圧力も高まり、最高価格帯を引き上げれば「安さの象徴」としてのダイソーのブランドイメージが揺らぐリスクもある。

ダイソーは近年、「安さ」だけでなく「消費者体験」の強化にも乗り出している。オンライン販売チャネルの拡充に加え、ソウルの一部地域では即日配送サービス「オヌルペソン(今日の配送)」を試験導入。これは「安さ」を武器にする中国系Cコマース(アリ、テム、シーインなど)に対して、スピード面での優位性を確保する狙いもある。

(c)news1

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