韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領は就任後、ソウル・龍山(ヨンサン)に大統領府を移した。その「龍山時代」の象徴だったのが、出勤途中、記者団の前に立って質疑応答をする「囲み取材」だった。しかし、政権発足6カ月で、この「囲み取材」が危機を迎えている。
◇大統領が肉声で立場伝える
ユン大統領は当選後、国民とのコミュニケーションを強調してきた。その一環として大統領執務室を龍山に移し、出勤途中に記者団に会い、各種懸案に対する質問を受けて答えた。国政運営の最高責任者である大統領が肉声で懸案に対する立場を明らかにすることは想像し難いこととされてきたため、破格の対応だった。
権威を放棄したような大統領の新しいコミュニケーションのやり方は新鮮味を与えた。大統領のメッセージは直接、国民に届き、省庁には責任感を負わせた。何よりも大統領自らがコミュニケーションを取ろうとする姿を見せた、ということが高い評価を受けた。
◇突発の発言が問題に
だが、肯定評価ばかりではない。時に、大統領の突発の発言が飛び出して問題になったりもした。「私は大統領が初めてなので」「過去には民弁(民主社会のための弁護士会/韓国の弁護士団体)出身が埋め尽くした」などの発言は政争の具にもなった。一部では、大統領の精査されていない発言の危険性を懸念して、囲み取材を中止すべきだという声も出たりした。
囲み取材の方式は時間が経つにつれて変化したりもした。初期は記者団の質問で始まったが、今年8月12日からは冒頭に発言する方法に変わった。これにより、大統領のメッセージはさらにはっきりしたものになり、囲み取材も次第に安定してきたという評価も出た。
就任から半年、大統領の囲み取材は日常的なことになった。しかし今月18日、61回目の囲み取材の際、問題が生じ、結局、中断されるに至った。
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