飲酒運転を疑って声をかけた男性が、車内にいた暴力団員に凶器で襲われる事件が発生し、韓国社会に衝撃を与えている。被害者は深刻な負傷を負い、警察の捜査対応にも批判の声が上がっている。
事件は11月21日午前6時ごろに発生した。JTBC「事件班長」によると、被害者は知人とともに車を運転中、前方の外車が中央線を超えるなど不規則な運転をしているのを発見。不審に思った被害者たちは、その車が安全に運転できるように助けようと車を停め、運転手に声をかけた。
被害者が窓をノックし、「もしかしてお酒を飲んでいますか?」と尋ねたところ、車内にいた2人の男は「そうだ、飲んだ。俺たちはヤクザだ。お前ら、運が悪かったな」「教育してやる」と言い放ち、突然バッグから凶器を取り出した。
その後、2人は体に彫られた「入れ墨」を見せながら被害者らを脅し、凶器で襲いかかった。被害者は首に4cmの深い傷を負い、知人も顔を殴られて眼鏡を壊され、さらに腕を刺されるなどの重傷を負った。
被害者らは恐怖の中、近くのコンビニに逃げ込み警察に助けを求めた。その間に加害者たちは乗ってきた車で逃走した。
その後、容疑者は慶尚北道慶山市を拠点とする暴力団に関わりがあることが判明した。
被害者は事件後、証拠映像が消されていたことに疑問を呈した。「事件発生後、私はドアを施錠することもできず病院に搬送された。その後、車に戻って確認したが、ドライブレコーダーの映像が事件発生の1時間前までしか残っていなかった。暴力団関係者が証拠隠滅を図ったのではないか」と語った。
その後、容疑者の1人で車を運転していた人物が特別傷害の容疑で逮捕された。同乗者も暴行容疑で摘発された。
しかし、被害者は警察の対応に強い不満を抱いている。
被害者は「医者から『頸動脈近くを深く刺されて、命を落としてもおかしくなかった』と言われた。それなのに、なぜ殺人未遂罪が適用されないのか理解できない」と憤りを露わにした。さらに、警察が事件直後にドライブレコーダーの映像を確保していれば、状況がもっと明確になったはずだ――といい、「消極的な捜査に失望している」と訴えた。
これに対し、警察側は「傷は首ではなく、首の後ろの軽い傷であり、殺人未遂には該当しない」と説明している。
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