2025 年 6月 9日 (月)
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「韓国版Mistral AI」開発へ…李在明政権、AI政策に“政策首席”新設

2025年6月4日、首相や国情院長、大統領秘書室長らの人事を発表するイ・ジェミョン(李在明)大統領(c)news1

韓国のイ・ジェミョン(李在明)政権が掲げた「AI投資100兆ウォン」構想のもと、同国でも国家代表級の大規模AI企業が誕生する見通しとなった。モデルとされるのは、ヨーロッパAIの象徴ともいえるフランスの「Mistral」だ。この取り組みにおいて、政府は民間と連携した特別目的会社(SPC)を設立し、次世代基盤モデルである「ファウンデーションモデル」の開発を主導する。イ・ジェミョン大統領の任期5年間、このモデルの開発が国家的目標として位置づけられる。

また、大統領室に「AI政策首席(Chief AI Officer, CAIO)」を新設し、AI政策を一元的に統括。大統領直属の国家AI委員会の機能も強化される。政策の中核には、オープンソース型の大規模言語モデル(LLM)の開発と国民への開放がある。これにより、さまざまなAI応用サービスの自律的な誕生を後押しする。

すでに科学技術情報通信省は「ワールド・ベスト・LLM(仮称)」プロジェクトの青写真を提示しており、政府は年内に1万枚規模の最新GPU(グラフィック処理装置)を確保する。イ・ジェミョン大統領もAIデータセンター(AIDC)の構築とGPU確保を喫緊の課題と捉えており、AIDCを「国家戦略技術事業化施設」に指定すると明言している。

さらに、AIDC建設を迅速に進めるため、行政手続きの簡素化や許認可の「タイムアウト制」導入、冷却・管理を含む関連技術への支援体制も整える。

AI開発に欠かせない「データ」と「人材」確保にも力を注ぐ。高品質データを蓄積する「AIデータ集積クラスター」を設置し、放送局の映像素材などを購入してマルチモーダルAIの開発に活用する計画だ。蓄積されたデータはオープンプラットフォームとして広く共有される予定である。

人材育成では、AI大学院の拡充や、AI融合学位課程の増設、小中高におけるAI・ソフトウェア教育時間の拡大が進められる。これにより、青少年のコンピューティング思考力と問題解決能力の向上を図る。さらに、海外のAI人材を惹きつけるため、破格のインセンティブ制度を設けるとともに、国内大学や研究機関の人材誘致政策も改善する方針だ。

イ・ジェミョン政権は、AIを国家成長の核心と位置づけ、「韓国版Mistral AI」の実現を通じて技術主権確立と産業競争力の強化を目指している。

(c)news1

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