
「韓国の人気ウェブトゥーンでプラットフォームを育成する」として国庫からの支援金を受け取った後、中国産ウェブトゥーンを購入したとして、韓国コンテンツ振興院から約2億5700万ウォンの返還を求められた企業が、行政訴訟で一部勝訴した。
ソウル行政裁判所は、ウェブトゥーンの開発・流通会社A社がコンテンツ振興院を相手取って提起した「国庫支援金返還処分の無効確認訴訟」で、「A社に対する支援金返還義務は存在しない」として原告一部勝訴の判決を下した。コンテンツ振興院が提起した反訴(返還請求)は棄却された。
両者は2022年5月、「漫画海外プラットフォーム構築・運営支援事業」の一環として総事業費3億9000万ウォン規模の協約を結び、A社は「韓国の人気ウェブトゥーンを確保してプラットフォームを育てる」とする事業計画で選定された。
しかし同年11月、コンテンツ振興院は協約を解除し、支援金2億5710万ウォンの返還を通知した。
その理由は、A社がすでに保有・流通していたウェブトゥーンを購入したり、A社代表が社内取締役として登録されている別会社から作品を購入し、支援金を不正に流用したと判断したためだ。また、当初計画と異なり、韓国の人気作品ではなく中国ウェブトゥーンを多く購入したとし、欺罔行為に該当すると主張した。
これに対しA社は、計画の目的に反する用途や、私的利益のために系列会社の作品を購入した事実はないと反論。事業計画書でいう「韓国人気作品」とは「韓国製」や「韓国人作家の作品」を意味するものではなく、生産国を詐称したわけではないと主張した。
裁判所はA社の主張を一部認めた。
裁判部はまず、A社代表が社内取締役を務めた関連会社からの作品購入について「すでに任期が満了しており、報酬の受領も確認されていない」として、不正行為とは言えないと判断した。
また、中国作品の購入についても「今回の支援事業の目的は、韓国産ウェブトゥーンの購入や掲載よりも、プラットフォーム育成に重点があると見受けられる。事業計画書にも購入対象作品を韓国製または韓国人作家の作品に限定するとは記されていない」と指摘した。
一方で、A社が求めていた「協約解除と返還処分の取消し」請求については却下された。裁判所は「コンテンツ振興院の通告は、契約上の義務に基づくものであり、行政訴訟の対象となる『処分』には該当しない」として、あくまで対等な契約関係での通知であったと判断した。
コンテンツ振興院はこの判決を不服として控訴している。
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