
2016年の最新鋭迎撃システム「終末高高度防衛(THAAD)ミサイル」配備に端を発した中国の「限韓令(韓流制限令)」で大打撃を受けた韓国企業が、現地化戦略を通じて再び中国市場に復帰しつつある。韓流スター広告が姿を消した後も、韓国企業は品質と技術を武器に中国消費者の生活の中へ静かに浸透している。
その代表格が、韓国の化粧品ODM(研究・開発・製造)大手「韓国コルマー」だ。コルマーは江蘇省無錫市に設立した現地法人「無錫コルマー」を通じ、クッションファンデーションと日焼け止めを中心に急成長を遂げている。現在、クッションファンデが中国売り上げの35%、サンケア製品が25%を占め、3年連続で年平均5%以上の成長率を維持している。特に研究開発(R&D)を軸にした機能性製品の受注が増えたことで、工場稼働率も上昇している。
韓国コルマーが「限韓令」を乗り越えられた理由は「現地化された技術競争力」にある。無錫コルマーの工場は単なる生産拠点ではなく、「研究所型製造基地」として設計されている。全社員約1000人のうち3分の1が研究・品質管理分野の専門人員で、研究と生産が分離ではなく循環構造で結びつく。製品企画から原料開発、製剤設計、包装素材設計までをワンストップで担う体制を整え、ISO22716・ISO9001・ISO14001・ハラールなどの国際認証も取得している。
無錫コルマーは研究開発費として売り上げの7〜8%を投資し、紫外線防御力を高めた高効率無機サンスクリーンや、メイク密着力を高める「クイックドライ・ロングラスティング」技術など独自の特許技術を確立した。研究成果は再び生産に還元され、Kビューティーの技術を中国現地で再構築する循環モデルを形成している。
また、韓国・北米・中国をつなぐグローバルR&Dネットワークが同社の強みとなっている。地域ごとの研究所がリアルタイムでデータを共有し、韓国の処方技術、北米のエコ素材、中国の消費者感性を融合させた製品を共同開発。セタフィルの日焼け止めやレブロンのクッションファンデなど、グローバルブランドとの協業もこのネットワークの成果だ。
無錫コルマーはさらに、中国市場に最適化したフォーミュラ(処方)開発にも注力している。中国特有の気候や肌質、文化的嗜好を考慮し、現地大学や研究機関と連携して技術をローカライズ。江蘇省政府が指定した美容・健康産業クラスター内で、産学協力を通じた素材開発と効能評価を進めている。
同社のキム・ジョンホ副社長は「我々の強みは、研究・生産・市場が一体となる構造にある。研究が工場を動かし、工場が研究を拡張する。その好循環がKビューティーの競争力を支えている」と語る。また、「限韓令以降は韓流人気よりも技術力で勝負する時代。韓国コルマーは現地の生態系の中で“日常に溶け込む韓国ブランド”を目指している」と強調した。
(c)MONEYTODAY