2025 年 12月 1日 (月)
ホーム社会「韓国のボトックス」に広がる偽造品被害…国家重点技術の指定解除に業界から懸念の声

「韓国のボトックス」に広がる偽造品被害…国家重点技術の指定解除に業界から懸念の声

ある女性がボトックス施術を受けている様子(c)AFP/news1

K-ビューティの人気が世界で高まる一方で、韓国産ボツリヌス毒素製剤(ボツリヌス毒素)の偽造品流通が深刻な問題となっている。2023年には、ある韓国企業が別製品のボツリヌス毒素を大手製薬企業「HUGEL」のラベルにすり替えて中国に出荷しようとした「ラベル詐欺」が摘発された。さらに最近では、イギリスで欧州連合(EU)未認可の韓国製ボツリヌス毒素製剤がオンライン取引され、6月から8月にかけて感染や組織損傷といった副作用報告が41件にも上った。

韓国関税庁によると、海外通販やSNSを通じた偽造品の摘発件数は年々増加しており、2025年には仁川税関でのKブランド偽造品摘発数が前年同期比で130%も増加した。中でもボツリヌス毒素や化粧品の無許可・偽造医薬品の流通が横行している。

ボツリヌス毒素は医療現場で使用される高リスク薬品であるにもかかわらず、違法製品は製造・流通段階で品質検査を受けておらず、安全性の保証がない。マヒや感染といった重大な副作用の危険が常に伴う。

業界関係者は「K-ビューティが注目される今、偽造品の拡散は正規ブランドの信頼を損ない、国家ブランド全体のイメージにまで悪影響を及ぼす」と警鐘を鳴らす。

国内のあるボツリヌス毒素製造は、自社製品が正規価格よりもはるかに安く海外市場で流通している実態を突き止めた。同社関係者は「こうした事例は4〜5年前、中国市場を中心に現れ始めたが、最近では東南アジア、ヨーロッパ、アメリカへと拡大し、巧妙な手口が使われている。違法流通が拡大すれば、グローバル流通パートナーとの信頼関係も損なわれる」と懸念を示す。

別の企業関係者も「未認可国で施術を受けた患者から副作用の苦情が本社に届いた例がある。偽造ボツリヌス毒素は有効性も安全性も検証されておらず、患者の健康を脅かすばかりか、国家ブランドにも致命的な打撃を与える」と指摘する。

このように深刻な偽造流通の問題が広がる中で、韓国政府内部では「ボツリヌス毒素の国家核心技術指定を解除すべきだ」との議論も浮上しており、業界からは懸念の声が上がっている。

ボツリヌス毒素が国家重点技術に指定されていれば、「産業技術保護法」に基づく規制により、技術流出や偽造品の取り締まりが強化され、実効的な法的対応が可能となる。これが解除されれば、監視と処罰の枠組みが弱まり、偽造品の流通に拍車をかける可能性がある。

業界専門家は「ボツリヌス毒素の国家核心技術指定は、単なる技術流出防止ではなく、患者の安全と正規品の信頼性を守るための最小限の安全網だ」と強調し、「政府レベルでの技術保護は、違法流通を防ぐ防波堤となる」として、拙速な指定解除に慎重な対応を求めている。

(c)news1

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