2025 年 2月 22日 (土)
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「韓国に行きたい」…ウクライナで捕虜の北朝鮮兵、政府は全員受け入れへ

ウクライナで捕らえられた北朝鮮軍捕虜=ゼレンスキー大統領Xキャプチャー(c)news1

ウクライナ軍が戦場で生け捕りにしたロシア派遣の北朝鮮兵が、メディアのインタビューで、韓国への亡命を希望する意向を示した。韓国政府は「派遣された北朝鮮兵が韓国行きを望むならば、全員受け入れる」との方針を明らかにした。

ウクライナ当局が保護している北朝鮮軍捕虜2人のうち1人は、韓国紙・朝鮮日報のインタビューで「韓国に行きたい」と述べた。この北朝鮮兵の法的地位がどう判断されるかによって、今後の送還手続きが決まる見通しだ。

現在、北朝鮮はロシアへの軍派遣を公式には認めていない。派遣された兵士の多くはロシア側から提供された偽の身分証を所持して戦闘に参加したとされる。このため、国際法上、北朝鮮は交戦国とはみなされず、北朝鮮兵も合法的な交戦者とは認められない。

一方で、ロシア側が「彼らはロシア軍の一員だ」と主張する可能性もあるが、当の北朝鮮兵が詳細な派遣経緯を明かしていることから、その主張が受け入れられる可能性は低い。

国際法上、戦争捕虜は原則として、所属する交戦国に送還される。ジュネーブ第3条約も、交戦国に対し「敵対行為終了後、捕虜を送還する義務」を課している。

しかし、北朝鮮が派遣を公式に認めていないため、韓国政府が彼らを「脱北者」として扱う可能性も浮上している。韓国憲法上、脱北者は韓国国民としての地位を持ち、保護を受ける権利がある。このため、韓国政府はより積極的に対応できる余地が生まれる。

過去には朝鮮戦争(1950~53年)の際、送還を拒否した戦争捕虜が台湾などに移送された前例もある。このため、国際協定よりも関係国同士の交渉が重要になるとみられ、韓国政府は迅速にウクライナ側と協議を進めるべきだとの意見が強まっている。

韓国外務省は「派遣された北朝鮮兵も憲法上は韓国国民である」との立場を明確にした。ただ、現時点では法的地位を確定していないものの「捕虜送還の際、本人の自由意思を尊重することが国際法と慣例に合致する。また、本人の意思に反して迫害の恐れがある場所に送還してはならない」と述べ、保護する意向を強調した。

韓国政府は韓国移送を決定しても、公式発表を控える可能性がある。ウクライナ側が捕虜の引き渡しの見返りに韓国に人道支援などを求める可能性も指摘されているが、今回のケースでは人道問題であることや国際世論の影響も考慮され、大きな対価は求められないとみられる。

また、ウクライナで捕虜となった北朝鮮兵は「捕虜となることは裏切りとみなされ、北朝鮮当局に知られれば家族は平壌にいられなくなる」と懸念を示した。韓国政府が彼らの韓国行きを公にすることで、北朝鮮に残る家族の安全が脅かされる可能性もあるため、政府は事態を非公表(NCND=Neither Confirm Nor Deny)の方針で進める可能性が高い。

(c)news1

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