
数千億ウォン規模の背任事件で実刑判決が確定した後に海外へ逃亡した韓国家電量販店ハイマートのソン・ジョング(宣鍾九)元会長について、韓国政府が身柄引き渡しを実現できず苦慮している。
韓国法務省と大検察庁は2024年5月、カンボジア当局に対しソン・ジョング元会長の引き渡しを要請したが、現地側は応じられないと通知した。
カンボジアは韓国側の要請を受け、2025年1月にソン・ジョング元会長を現地で一度拘束したものの、同年6月に釈放している。
背景には、引き渡しを強制できない制度上の制約がある。韓国とカンボジアは2011年に犯罪人引き渡し条約を締結しているが、強制力がなく、最終的には相手国の判断に委ねられている。
韓国法務省は「外交ルートを通じて説得を続けているが、法的に強制する手段がなく、相互主義に基づく協力に頼るしかない」と説明している。
さらにカンボジア側は、韓国内に滞在する反政府関係者との“引き換え”を求めているとされ、交渉は難航している。
ソン・ジョング元会長は2021年、ハイマートの買収・合併過程で会社や少数株主に約2000億ウォン(約220億円)の損害を与えたとして、背任罪で懲役5年と罰金300億ウォン(約33億円)の判決が確定した。
しかし当時、裁判所が控訴の機会を与えるとして法廷拘束を見送った間に出国し、検察も出国禁止措置を取っていなかった。
その後、旅券は無効化され、国際刑事警察機構(インターポール)の手配対象となったが、ソン・ジョング元会長は2019年にカンボジア国籍を取得しており、現在も現地で生活しているとされる。
韓国政府は引き続き外交交渉を通じて引き渡しの実現を目指す方針だが、具体的な進展は見えていない。
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