2025 年 12月 24日 (水)
ホーム社会「金が必要なら口座も売る」…未成年が闇取引に手を染める衝撃の実態

「金が必要なら口座も売る」…未成年が闇取引に手を染める衝撃の実態 [韓国記者コラム]

テレグラムのチャンネルに掲載された「カカオトーク認証販売」のメッセージ(c)news1

「ギャンブルで借金ができたら、何でもする。金が必要なら口座も売るし、SIMも売るだろう」。韓国のある男性(18)はこう言う。中学生時代にオンライン賭博にのめり込み数百万ウォンの借金を抱えた男性は、資金を工面するためにカカオトークのアカウントを販売する道を選んだ。周囲から集めたアカウントを仲介業者に渡し、1件当たり約20万ウォンを受け取っていたという。

news1の取材によると、テレグラムなどで最近、カカオトークや各種プラットフォームのアカウント、いわゆる「ダミー口座」の売買に若年層が関与する事例が確認された。小遣い稼ぎの名目で違法な取引に加担しているのだ。

複数のテレグラムチャンネルでは「カカオトーク認証販売業者」を名乗る投稿が頻繁に上がっており、参加者は1万9000人に達するチャンネルもあった。別のチャンネルでは各種プラットフォームのアカウントを商品化し、価格表を掲示している。ダングンマーケット(中古取引アプリ)や検索大手のID、総合金融アプリ「トス(Toss)」のアカウントまで売買対象となっている。未成年者や新規アカウントは値引きして購入することが明示され、「未成年可」と記載された買い取り広告も存在した。

売買されたアカウントは詐欺やフィッシングなどの犯罪に流用されている。9月に京畿北部警察庁が摘発したフィッシング詐欺グループは、未成年者からダングンマーケットやカカオトークのアカウントを買い取り、偽の出品を掲載して被害者をフィッシングサイトに誘導、金銭をだまし取っていた。摘発された42人のうち19人が青少年だった。

また、2023年に江南・塾街で発生した「大峙洞薬物入り飲料事件」では、被害生徒の保護者への脅迫に使われたカカオトークアカウントが、同年に釜山警察庁が摘発したダミーアカウント流通組織から供給されたことが判明している。これらの組織はダミーアカウント販売で巨額の利益を上げており、当時の捜査で約22億ウォンの収益が確認された。さらに関与者の一部は、その後、カンボジアでの韓国人生徒死亡事件の主犯に指摘されている者も含まれていた。

アカウントの譲渡・販売行為自体は、積極的に犯罪に関与していない場合でも違法となる。電気通信事業法は、自らが開設した通信アカウントを他人に提供した者に対し、1年以下の懲役または5000万ウォン以下の罰金を科す規定を置いている。

専門家は、こうした若年層のアカウント販売は第2次的な犯罪の温床になりやすいと警鐘を鳴らす。代用口座やアカウント売買がさらに組織化すれば、より大きな犯罪に拡大する恐れがある。建国大学警察学科のイ・ウンヒョク教授は「アカウント販売から始まり、やがて彼らがより大きな犯罪に手を染めるのは時間の問題だ」と指摘し、家庭や教育当局、警察の監督が重要だと強調した。

心理学の観点からも問題視される。ソウル大学心理学科のクァク・グムジュ教授は「青少年期に違法で簡単に稼ぐ経験が日常化すれば、犯罪に対する心理的障壁が低くなる。違法行為が当たり前になれば、将来的に犯罪で稼ぐことを正当化する傾向が強まる」と警告する。

現場の若者の声は生々しい。「今でも金が必要になれば、まずテレグラムを開いてしまう」と先述男性は告白する。監督と予防、早期介入が欠ける社会環境の中で、こうした違法行為が若年層に広がることを許せば、より深刻な社会問題を引き起こす恐れがある。【news1 クォン・ジュノン記者】

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