グローバルOTT競争が激化する中、「広告型無料プラットフォーム」が急浮上している。有料配信型OTTが、オリジナルコンテンツの制作費負担、配信料引き上げ、加入者増加傾向の鈍化などで伸び悩んでいる。そんななか、無料OTTは広告の安定的な収益パイプラインの確保が可能だという期待が高い。
今月13日、アマゾンは広告挿入型無料OTTサービス「IMDb TV」の名称を「Amazon Freeby」(FreeVee)に変更した。広告型無料サービスが購読料負担を感じた利用者から人気を集めるようになっただけに、サービスアイデンティティをよりよく表す新しい名称をもとに事業を拡大するという意図だ。
実際、動画ストリーミング市場では無料サービスの割合が急速に増えている。市場調査会社ニールセンによると、2021年1月、動画ストリーミングを利用した米国家庭の3分の1(約34%)が広告型サービスを利用し、IMDbテレビのMAU(月間活性利用者)はこの2年間で3倍近く増加した。
12日、国際サッカー連盟(FIFA)が発売したOTT「FIFAプラス(FIFA+)」も広告基盤無料サービスという点で、サッカーファンから大きな反響を得ている。サッカーは世界的に最も裾野の広いスポーツであると同時に、動画ストリーミング市場でも核心コンテンツだが、数年間国内外のOTTはFIFAとの高価な中継権料などを名分に続々と有料に転換してきた。
◇「市場飽和」購読型OTT
広告を見る代わりに無料でコンテンツを楽しむことができる「FAST(Free Ad-supported Streaming TV)」サービスの浮上は有料購読型OTTの競争激化、広告市場の変化と噛み合っている。
有料配信型のOTT市場は、グローバルで最強の「ネットフリックス(Netflix)」をはじめ、「ディズニープラス(Disney+)」「アップルTV+(プラス)」など、メディアの強者が続々参入している。各社ともオリジナルコンテンツを競って配信し、制作費もハリウッドを越えて天井知らずに跳ね上がっている。それでも加入者の増加速度は停滞している。
さらにGoogleやAppleなどグローバルアプリマーケットが世界的に「In-App決済(スマホのアプリ内でクレジットカード番号などを登録し、サービス利用後にカードで決済する機能)」の適用を義務付け、OTT料金の引き上げをあおる。それゆえ、配信料に負担を感じているユーザーは財布の紐を引き締めている。
一方、無料動画は徐々に増えている。市場調査会社「オムディア(OMDIA)」は、YouTubeをはじめ、ロク(Roku)などFASTサービスが相次いでリリースされたことを受け、2025年には売り上げ規模が電波でのリアルタイム放送広告を上回り、有料配信型のビジネスモデルの2倍成長するものと見込んでいる。
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