2024 年 12月 22日 (日)
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「都市油田」事業の可能性 [KWレポート] プラスチック循環経済 (3)

済州にある環境施設管理所埋立地にリサイクルプラスチックが山のように積まれている(c)news1

汚れた廃プラスチックやビニールは、街中における油田――。こんな考え方がある。これが、プラスチック循環経済の重要な柱の一つ「都市油田」事業につながっている。

韓国でこの「都市油田」事業が適切に進められるかどうか、早ければ9月に確定する。

◇品質の検証

産業通商資源省は、化学大手のSKジオセントリック、GSカルテックス、現代オイルバンク、現代ケミカルなどの企業について、熱分解油事業に対する実証特例を進めている。

熱分解油を、プラスチックの原料であるナフサやガソリン、軽油などを生産する精油工程の原料として活用してもよいかを調べるプロセスだ。

これらの企業はビニールや異物が多く付着した廃プラスチックを300~800度の高温で加熱して一種の「原油」状態に戻す事業を推進している。

ビニールや汚れた廃プラスチックをリサイクルできる唯一の方法として挙げられる。原油に似たような状態になった熱分解油は、ナフサとしてリサイクルでき、一方では精製過程を経て灯油や軽油、ガソリンのように燃料として使うことができる。

熱分解油をナフサの製造に活用することは昨年許容された。環境省は廃棄物管理法の改正により、熱分解油で多様なプラスチック製品を作ることができるようにした。廃棄・焼却にするのが通常だったビニールや汚れた廃プラスチックを、再びプラスチック製品にリサイクルできる道が開かれたのだ。

しかし、熱分解油の場合、「燃料」としては一種の暖房用補助燃料(灯油)の活用にとどまってきた。熱分解油を軽油、ガソリンなどを作る過程で幅広く活用するためには、品質の問題を検証すべきだというのが韓国政府の立場だ。車両などに使う場合、安全性などに問題がないかを当然チェックしなければならないからだ。

◇9月まで実証特例

実証特例はSKジオセントリック、GSカルテックス、現代オイルバンクの場合、9月まで進められるという。現代ケミカルは来年2月までだ。この結果を見て品質に問題がないと結論づけられれば、石油事業法改正などを経て「都市油田」事業が本格的に推進されると期待される。

化学業界は、熱分解油の活用に無理のない条件が整うのを待っている。韓国だけで年間1000万トンに達する廃プラスチックが排出され、このうち70%以上が廃棄・焼却になっているという厳しい状況が続いているためだ。「都市油田」が活性化されれば廃プラスチックリサイクル率を引き上げることができると期待されている。

業界関係者は次のように見通している。

「灯油だけだった熱分解油をガソリンや軽油でも活用できるならば、廃プラスチック市場が本当に『都市油田』に生まれ変わる契機になりうる。廃棄されざるを得ないプラスチックを化学的リサイクルを経て再資源化できるという点で、環境的にも経済的にもプラスになる」

(つづく)

(c)MONEYTODAY

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