現場ルポ
スマートフォンのカメラで建物の内部をスキャンする。韓国ネット大手ネイバーが開発したブレーンレスロボット「AMBIDEX」が登場し、フロア別のオフィスを案内する。「ラボ研究所」と検索すると、カメラ画面に「後ろを向いて25メートル移動せよ」という表示がAR(拡張現実)に表示される。移動方向だけでなく、到着地まで距離がどのくらい残っているのかもリアルタイムで表示される。延べ面積5万坪のネイバー第2社屋から目的地まで1分30秒で到着した。
迷路のように複雑な江南駅の地下街。似たような店の間をさまよっているここでも、スマートフォンで周辺をスキャンすると、道案内が表示される。江南駅は商店街の構造が似ているため、機械による測位が難しかった。多くの人が測位を妨害したりもする。だが、今回はスマートフォンをしばらく下に置いても、カメラが床や天井に向かっても、安定して道を案内してくれる。
業界関係者によると、「ネイバー・ラボ(NAVER LABS)」はこうした「ARナビゲーション」を研究開発している。一般的に室内ではGPS(米国の全地球測位システム)の精度が落ちるが、同社は該当建物をデジタルツインで再現し、室内でも1メートル単位の正確な道案内ができるようにした。
ARナビゲーションは同社のビジュアルローカライゼーション(VL)技術力が端的に表れる事例だ。マッピング(地図制作)ロボットが撮影した3Dデータをもとに特徴を抽出した地図を作成した後、これを写真と比較して位置を把握する。
ネイバー・ラボは2019年、世界最高のコンピュータービジョン学会「Computer Vision and Pattern Recognition(CVPR)」でGoogleやMicrosoftを抜いてVL技術1位になった。最近、韓国産業技術試験院(KTL)の認証を受けた際、室内測位テストは誤差範囲が0.18メートルに過ぎなかった。ネイバー・ラボのイ・ドンファン責任リーダーは「慎重に進めたテストだったのに、世界最上位レベルの結果が出た」と胸を張った。
VLはメタバースの核心技術にも挙げられる。現実と仮想現実が相互連動するためには物理的世界の位置を、正確かつ途切れることなく推定する技術が必要なため、VLの重要性が強調されている。ネイバー第2社屋でロボットが自律走行できるのもVL技術のおかげだ。Googleが昨年、チューリッヒ空港内でGoogleマップのARナビゲーションサービス「ライブビュー」を披露するなど、グローバルビッグテック競争も激化している。
ネイバーは、これを仁川XR(拡張現実)メタバースプロジェクト、国立中央博物館デジタルツイン化プロジェクトに適用するなど、VL商用化に乗り出す。ネイバー関係者は「まだ内部技術検証のためのデモテスト段階だが、長期的にはデパートのような大規模空間でもARナビゲーションが可能になるだろう」と展望している。
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