2025 年 7月 28日 (月)
ホーム社会「赤ちゃんポスト」に預けられた37人の乳児…韓国・保護出産制度1年、見えた「制度の限界」

「赤ちゃんポスト」に預けられた37人の乳児…韓国・保護出産制度1年、見えた「制度の限界」

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韓国政府が「危機的妊娠」に対応するため、匿名出産を認める保護出産制度を導入してから1年が経過した。この制度は、妊婦が出産を諦めず、安全に子を産めるよう支援する目的で、2024年7月から施行された。しかし制度の導入にもかかわらず、2025年7月までの1年間で依然として37人の乳児が「ベイビーボックス(赤ちゃんポスト)」に預けられたことが分かり、制度の限界が浮き彫りになっている。

危機的妊娠は、経済的な困難を抱えていたり、誰にも知られたくない事情があったり、子どもを産み育てる環境を整えられないケースを指す。

保健福祉省によると、この1年間で相談を受けた危機的妊婦は1971人に上り、提供された相談件数は7675件にのぼった。うち109人が保護出産を選択し、129人が申し込みをしたが、20人は継続的な相談と「熟慮期間」を経て申請を撤回した。

制度では妊婦が匿名で医療機関で出産できるようになっており、出生届制度との併用で「無登録の子」の発生防止を目指す。導入後、全国で遺棄された児童数は2023年の88人から2024年には30人に減少し、制度の一定の効果が示された。

しかし民間団体「チュサラン共同体」が運営するベイビーボックスには、依然として多くの乳児が預けられている。制度施行後の1年間でも37人の子が保護された。特に今年上半期には16人が預けられ、うち56.3%が未婚の母で、出産場所が病院外だったケースも5件に上った。

ベイビーボックス側は、制度の中で「施設入所」や「7日以上の熟慮期間」が原則とされている点に懸念を示す。職場への支障や他人に妊娠を知られたくない事情を持つ女性にとって、この期間が心理的負担になるという。また、制度の存在を知らなかったり、政府による匿名保証への信頼が低いため、民間の支援を選ぶ妊婦も少なくない。

チュサラン共同体のヤン・スンウォン事務局長は「それぞれの母親に事情があり、育てる気がなくても一緒に生活する中で愛情が芽生えることもある。支援は一律ではなく、個別対応が必要だ」と強調する。

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