「落書きがこんなに多いとは知りませんでした。国宝級の文化財を毀損する犯罪に対しては、強力な処罰が必要です」
21日午後3時ごろ、ソウル市鍾路区(チョンノグ)の景福宮(キョンボクグン)にいた50代のイさんは、宮殿のあちこちに書かれた落書きを見て、驚いた表情でこう語った。「一人が始めるとまた誰かが真似するだろう。模倣犯罪はたちが悪い」
16日と17日には、景福宮迎秋門付近と国立古宮博物館壁面など3カ所にスプレーで不法映像共有サイトなどを書いた人々が警察に捕まった。落書きで毀損された範囲は44mに達する。
文化財庁など関係機関は落書きが発見されたことを受け、文化遺産保存処理の専門家20人余りでチームを組み、復旧作業を進めている。
実は景福宮内部でも数十個余りの落書きが発見されている。落書きは人が多く集まる景福宮勤政殿と思政殿の壁と柱などで多かった。石でできた煙突の一面は落書きで埋まっていた。
落書きの大きさは、2センチから人の手の指の大きさまで多様だった。ペンを使った落書きがほとんどだったが、爪や尖った物で壁体や石板を掻いて復旧が容易でないものも多数発見された。英語や中国語など外国人が書いたものと推定される落書きもあったが、ほとんどは韓国の観光客が韓国語で描いた落書きだった。
市民らは景福宮内部にも落書きがあるとは知らなかったという。ガールフレンドと景福宮を訪れたナさん(25)は「文化財が傷つけられると、高額の復旧費用が必要になりそうだ。目立たないものも含めて落書きには、厳しい処罰が必要だ」と話した。
人の手が届かない壁面に靴の跡をつけたり、障子などを毀損する場合もあった。勤政殿の前を守っていた宮陵遺跡本部の関係者は「このような小さな毀損はあまりに多く、すべて確認するのは容易ではない。先日修復したと聞いたが、また傷つけられたとは知らなかった。障子紙は年に1度の割合で交換している」と語った。
文化財保護法第82条によると、誰であっても指定文化財に文字や絵などを書いたり、描いたり、彫ったりする行為は許されない。また、文化財庁長や地方自治体首長は、毀損した人に毀損された文化財の原状復旧を命ずることができる。
文化財庁の関係者は「景福宮内部に小さな落書きがあることを把握しているが、現実的にすべて除去するのは容易ではない。監視カメラの追加設置など、文化財毀損防止対策を強化し、来週中に発表する」とした。警察関係者も「文化財毀損事件を重大な犯罪とみなし、厳重に捜査する」と明らかにした。
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