2025 年 7月 16日 (水)
ホーム社会「肥満」ではなく「健康体重超過」→医療現場に求められる“ことばの配慮”…韓国で初の大規模調査

「肥満」ではなく「健康体重超過」→医療現場に求められる“ことばの配慮”…韓国で初の大規模調査

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「肥満」をどう表現するか――この研究において「健康体重超過」や「体格指数が高い人」といった用語が、肥満の女性と医療従事者の双方に好まれる傾向があることが明らかになった。これは、肥満に対する偏見や社会的スティグマ(ネガティブなレッテル貼り)を軽減する言葉選びの重要性を示す研究成果として注目を集めている。

韓国・嘉泉大学キル病院の家庭医学科のキム・ギョンゴン教授と、建陽大学病院家庭医学科カン・ジヒョン教授らの共同研究チームが、国内10の病院でBMI(体格指数)30以上の女性321人と、医師ポータル「HiDoc」に所属する医師171人を対象に調査した。英語圏ではすでに「肥満者」というレッテルを避けるために、「人を中心とした表現」や「人を優先する言い回し」の使用が推奨されており、韓国でもその必要性が高まっているが、これまで本格的な調査研究はなかった。

研究チームは「肥満」を表す9種類の疾患関連表現と、「肥満の人」を表す14種類の患者関連表現について、それぞれの表現に対する主観的な認識と適切性を5点満点で評価させた。

その結果、「肥満症」や「肥満症患者」といった表現は、調査対象の肥満女性と医師の両方から最も否定的な評価を受けた。一方で「健康体重超過」「体格指数が高い人」といった表現は、スティグマを軽減する表現として肯定的に評価された。

肯定的な評価を受けた理由としては「一般的かつ無難な健康関連用語」「体重や健康状態の改善の可能性を強調する表現」「否定的なニュアンスを最小化した表現」といった点が挙げられた。一方、「肥満症」という言葉に対しては「病気としてスティグマを押されるように感じ、不快だ」という回答が多かった。

興味深いのは、肥満女性と医療従事者の間で視点に違いが見られたことだ。

肯定的な表現を選んだ理由として「非難や差別の最小化」を挙げた割合は、女性では69.5%と圧倒的だったのに対し、医師側では12.3%にとどまった。反対に「医学的で専門的な表現」を好むと答えた割合は、医師が48%で最も高く、女性ではわずか7%だった。

これは、医療現場における患者中心の言葉遣いの重要性を改めて示した研究として評価される。研究を主導したキム・ギョンゴン教授は「肥満は体重調整の中枢と急激な生活環境の変化とのミスマッチによって発生する疾患であり、個人の責任だけに帰すべきではない。肥満をめぐる偏見が社会的スティグマを生み出す」と警鐘を鳴らした。

また「診療現場で用いる用語を変えるだけで、患者に不要なレッテルを与えず治療への動機づけにつながる。韓国語における多様な肥満関連表現の適切性を客観的に検証した初の調査研究である点に大きな意義がある」と付け加えた。

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