2025 年 5月 18日 (日)
ホーム経済IT/メタバース「習近平兄貴に属国一つ追加」AIによる虚偽発言拡散…韓国大統領選に“ディープフェイク警報”

「習近平兄貴に属国一つ追加」AIによる虚偽発言拡散…韓国大統領選に“ディープフェイク警報”

(c)news1

「大韓民国を中国の属国にする」──。韓国大統領選挙(6月3日)を前に、AI技術で偽造された“ディープフェイク”映像がSNS上に出回り、有権者を混乱させている。

ある映像では、共に民主党のイ・ジェミョン(李在明)大統領候補が、韓国を中国の属国と称し、「習近平兄貴に属国一つ追加してやった」「国を一緒に滅ぼそう」などと発言しているように見える。しかし、これはAI技術で顔や音声を合成した“ディープフェイク映像”であり、完全な捏造だった。

大統領選を控え、こうしたフェイク映像の拡散が選挙の公正性を脅かす事態となっている。見た目は荒いものが多いが、非対面・SNS中心の拡散環境により、迅速かつ大規模に広がることが懸念されている。

中央選挙管理委員会は4月4日から5月12日午後2時までの間に、大統領選に関連して削除を要請したディープフェイク映像が計897件に上った。これは2024年の総選挙期間(1月29日~4月10日)の388件の2倍以上にあたる。

代表的な例として、拘置所の服を着たイ・ジェミョン氏▽カツラを脱ぐハン・ドンフン(韓東勲)「国民の力」前代表の偽映像――などが拡散され、候補者の名誉を傷つける事例が続出している。

イ・ジェミョン陣営は、こうしたディープフェイク映像の製作者・拡散者を名誉毀損および公職選挙法違反の疑いで警察に告発。警察は現在、関連事件8件、18人を対象に捜査を進めている。

警察はディープフェイクを「5大選挙犯罪」の一つに指定し、国立科学捜査研究院(国科捜)と協力してAI解析を進めている。国科捜は韓国電子技術研究院(KETI)と共同で、AI音声・映像解析に基づくディープフェイク識別ソフトウェアの試作も完了。選管は先月9日から「ディープフェイク特別対応チーム」を運営しており、これを積極的に活用している。

法的には、2024年1月に施行された公職選挙法改正により、ディープフェイクを利用した虚偽の選挙運動は明確に処罰対象となっている。

現行法(公職選挙法 第82条の8)では、選挙日から90日以内にディープフェイクを使って選挙運動をすることは全面禁止され、違反すれば7年以下の懲役または1000万~5000万ウォンの罰金に処される。

また、選挙期間外であっても、ディープフェイクによる選挙運動や虚偽事実の流布にはAI合成映像である旨を明記する義務が課されている。これに違反した場合、1000万ウォン以下の過怠金が科される。

(c)news1

RELATED ARTICLES

Most Popular