2004年に韓国野球委員会(KBO)は、空前絶後の大規模兵役不正事件で頭を悩ませた。所属チームを問わず、かかわった現役プロ野球選手は50人を超えた。拘束された24人の大半は、実刑を言い渡された。
兵役逃れを試みた選手たちの試合出場停止処分によって、ポストシーズン進出が有力だった上位チームの順位が逆転するという前例のない事態が起きた。ソン・スンホン、チャン・ヒョクを含む有名芸能人までかかわったという事実が明らかになり、社会的波紋が広がった。
当時、ブローカーを通じて兵役免除を受けた選手たちと俳優は、病院での診療の際に尿に薬物を混ぜて腎臓疾患(糸球体腎炎)を偽装する手法をとった。その後、ソン・スンホンとチャン・ヒョクは再検査を受けた後、現役入隊した。
◇専門医も区別できず
2000年代初め、兵役逃れの手口は、身体を故意に毀損したり、機能障害を誘発させたりする方法だった。身体検査の等級を下げ、補充役や兵役免除判定を獲得するためだ。
2008年には、プロサッカー選手100人余りがわざと肩の骨を捻挫させた後、手術を受ける方法で現役服務を避けようとし、大量の刑事処罰を受けた。
彼らはサッカーに大きな影響の出ない左肩をダンベルなどで垂らして脱臼させた後、整形外科医から手術を受け、診断書を発給してもらう手口を使い、捕まった。
最近の大規模兵役忌避で問題となった「てんかん診断」手法は、過去の方法からさらに一段階進化したものだ。いわゆる「てんかん」として知られている病気は、不意に短い時間に発生する症状が特徴である。
彼らは脳波の異常を見つけるのとは別に、てんかん患者の演技をすれば、専門医すら簡単に区別できないという弱点を狙った。兵役判定検査では、てんかんの診断を受けて治療を受けている人が脳波検査、放射線検査、核医学検査で異常が確認されれば、5級(戦時労働役)に分類される。
◇一般人まで手を伸ばした黒い誘惑
兵役逃れが一般の人に深く浸透した点も、過去と違う点だ。かつて、兵役不正を試みるのは、主に公職者の子供や芸能人、プロ選手が多数だった。
しかし、昨年12月からソウル南部地検と兵務庁が合同捜査している大規模兵役不正事件の捜査対象は、ヘルストレーナーやプロゲーマー、専門職種の医師(公衆保健医)、兵役を逃れた人の両親まで含まれた。彼らが兵役逃れの情報を得た経緯も、インターネットのブログや兵役相談カフェのように簡単な検索だけでアクセス可能だった。
(つづく)
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