韓国のイ・ジョンホ(李宗昊)科学技術情報通信相の情熱は本物だ。
昨年11月には、大臣直属の「量子技術開発支援課」を新設し、これまでコンピューティング・通信・センサーなど省庁内に分散していた量子技術振興業務を一堂に集めた。「第2の半導体神話」をリードする分野として量子技術を挙げ、「未来産業・安保のゲームチェンジャー」とも強調した。
今月初め、「量子先進国」レベルの技術や産業化強化に向け、来年から2031年までの8年間、計9960億ウォンが投入される超大型プロジェクト「量子科学技術フラッグシッププロジェクト」に関連し、大規模な財政事業を推進するかどうかを決める「予備妥当性調査」を申請している。
同プロジェクトは、量子コンピュータ・通信・センサー分野の重点技術を確保する計画だ。その核心は、すべてのシステムが備えられた「韓国型量子コンピューティングシステム検証・活用」を通じて2030年代初めに1000キュービット級量子コンピュータを開発するというものだ。
政府はこれに先立ち、2026年までに予算490億ウォンを投入して50キュービット量子コンピュータシステムを構築し、2030年には以前までに500キュービットまで性能を高める計画を公開した。
世界的に量子コンピュータ分野を先導するIBMは、すでに2021年に127キュービット量子コンピュータを公開しており、今年は1121キュービット水準まで性能を高めるものと見られる。スタートは遅れたが、韓国も果敢な支援で世界レベルに追いつこうという決意だ。
◇「次世代発射体」と似た流れ
科学技術情報通信省は、量子コンピュータよりは、技術先進国との格差が比較的小さい量子通信・センサー技術育成に力を入れている。
今回のプロジェクトに、量子通信ネットワーク(初期量子インターネット)開発実証計画が盛り込まれたのもそのためだ。また、GPS(グローバル航法システム)なしに活用できる量子センサーなども開発することにした。
第1四半期(1~3月)の予備妥当性調査を申請しており、来年予算に反映される可能性も十分ある。
「2兆ウォン規模」の次世代発射体(KSLV-III)事業の場合は、昨年3月に予備妥当性調査を申請し、対象選定と予備妥当性調査を経た後、11月末に結果が確定した。当初の政府予算案には含まれなかったが、国会審議過程で追加された。
量子R&D(研究開発)も、技術確保が早急に必要と判断されれば、似たような流れになるだろう。
◇予備妥当性調査、来年度予算反映可能
同省は「量子技術グローバル4大強国」に入ることを目標に掲げ、「国家量子ビジョンや発展戦略」(国家量子戦略)を今年上半期に策定する。
2021年4月、「量子技術R&D(研究開発)投資戦略」を樹立し、同年10月には量子技術特別委員会を設置して、関連分野投資を拡大してきた。今回の新たな国家量子戦略では、これまでより3、4段階アップグレードした量子育成プランが盛り込まれる。
まず、2026年までに479億ウォンを投入し、量子インターネット技術を画期的に進化させる計画だ。今年は▽官民パートナーシップ基盤の産業需要オーダーメード型量子センサー開発(36億ウォン)▽素材開発用量子シミュレーター開発(76億ウォン)▽量子コンピューティング基盤量子利得探索研究支援(37億5000万ウォン)――にそれぞれ予算を投入する。
技術発展の主体である量子技術人材の育成にも努める。同省によると、量子技術関連の博士級重点人材は約250人いる。同省はこれを2030年に1000人水準まで増やすのが目標で、量子大学院を追加で設置する計画だ。これに先立ち、昨年は高麗大学をはじめ9つの大学で作るコンソーシアムを選定し、2024年までに毎年1カ所ずつ大学連合を選定する計画だ。
韓国政府は、米国や欧州連合(EU)など「技術先進国」との2国間の戦略的技術協力も推進している。昨年9月、韓米量子技術協力センターを開所したのに続き、年内には対欧州協力センターをオープンさせる。インフラ面では、量子コンピューティング・通信・センシング研究と産業的活用に必要な量子素子製作工程支援のためのハブインフラ高度化法案を上半期中に整える。既存の通信網に公共・医療・産業部門量子暗号通信モデル網を構築し、応用サービスの初期市場創出も推進する。
6月にはグローバル量子技術分野の国際カ会議「クォンタムコリア2023」を開催する。専門家だけでなく一般市民の量子技術に対する関心度を高めるのが狙いだ。
同省のチョン・ジェウク量子技術開発支援課長はこう意気込む。
「量子国家戦略には中長期的に私たちの量子技術が進むべきビジョンが総体的に盛り込まれるだろう。産学研が力を結集すれば、数年内に先進国に追いつくことができると見ている。選択と集中を通じて有望な分野をうまく支援したい」
(つづく)
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