
眼鏡は視力が弱い人でもよく見えるように助ける道具だ。だが矯正が適切でなければ、かえって視力を悪化させる恐れがある。
ウェアラブルロボットも同じだという。
「ロボットの補助力が強すぎると、わずか5分間の着用でも、かえって自分の体が重く感じられる」
韓国のウェアラブルロボット企業「エンジェルロボティクス(Angel Robotics)」のコン・ギョンチョル院長は、発売を控えたウェアラブル(装着型)ロボット「エンジェルスーツ(SUIT)H10」を眼鏡に例え、こう表現した。
スーツH10は、股関節の動きを補助するウェアラブルロボットだ。従来の「エンジェルレックスM20」よりも小型で簡便な形状をしており、日常的なレベルの補助力を提供する。
エンジェルロボティクスは当初、エンジェルスーツを一般消費者向けのウェルネス市場に投入する計画だった。しかし、実際の発売を前に、専門のリハビリ施設への供給に戦略を変更した。
病院では専門的なリハビリロボット「エンジェルレックスM20」を用いて治療を支援し、退院後もスーツH10を活用することで、リハビリの全過程を継続的にサポートする方針だ。
リハビリの継続性を維持しながら、多様な歩行障害の患者を支援することを目指している。さらに、整形外科や神経外科市場にも進出し、手術後の歩行リハビリ治療にも適用できると期待されている。
スーツH10の開発過程では、多様な装着実証試験が進められ、製品の品質や性能において有意義な成果を示した。ただ、補助力が強すぎると、逆に装着者の筋力を低下させる可能性がある、という課題も発見された。

「使用者が利便性を求めて過度に高い補助力を受けると、体がすぐに適応してしまう、という逆効果が発生した。強すぎる補助力は、むしろ『過ぎたるは及ばざるが如し』という結論に至った」
コン・ギョンチョル院長はこう表現する。
エンジェルロボティクスは、個人の身体・健康・歩行データに基づいて最適な補助力を提供する、パーソナライズされたパラメーターの設定を目指している。そのために、十分なデータを確保し、人工知能(AI)を活用する。
だが、現時点ではまだ十分なデータが確保できていないため、専門家に頼ることが効果的で安全なサービスを提供する方法だとみる。
コン・ギョンチョル院長は次のような展望を語った。
「スーツH10は当初から医療用グレードで開発されたため、医療機器の認証取得には問題がない。認証を完了した後、医療従事者に最適な使用を促し、病院から家庭まで適用範囲を広げていく。戦略的方向性の変更により発売時期がやや遅れたが、これはウェアラブルロボット技術の圧倒的な差別化を実現し、エンジェルロボティクスを通じて歩行の健康を願う多くの顧客に応える道だ」
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