2024 年 5月 19日 (日)
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「炭素排出量削減」…KTが水熱、地熱の代わりに注目したもの

SDGs~韓国の取り組み

KT融合技術院のハン・ジャギョン常務(KT提供)©MONEYTODAY

韓国の通信大手KTが温室効果ガス削減のための新しいエコ技術に注目している。水熱、太陽熱、地熱などの自然エネルギーの一つである「空気熱」を活用して、温室効果ガスの排出を減らし炭素中立を実践していく計画だ。また、空気熱を再生エネルギーの中の1つとして、自社ICT(情報通信技術)を融合させた事業も推進する。

◇空気熱ヒートポンプ

KTは先月29日、ソウル市龍山(ヨンサン)区で現場懇談会を開催した。アイパークモールに設置された空気熱ヒートポンプに関する事業計画を紹介するためだ。

自然のどこにでも存在する空気から熱を吸収した空気熱は、ヒートポンプ方式でエネルギー源に転換される。ヒートポンプは「蒸発―圧縮―凝縮―膨張」で構成された回路を、冷媒による循環・交換を通じて熱エネルギーを移動させる設備だ。簡単に言えば、特定の場所の熱を他の場所に移すのに使うものだ。圧縮時に温度が上がり、膨張時に温度が下がる基本原理を利用する。

従来のヒートポンプは、水熱や地熱を主に活用してきた。だが、地中約200メートルまで穴を開けて配管を設置するなど、別途の工事が必要で費用が多くかかった。地中の熱気を抜く過程で地中の熱バランスが崩れることもあり得る。

コベックエンジニアリングのパク・チュンギョン代表(KT提供)©MONEYTODAY

◇市場の爆発的成長を期待

同日の懇談会に出席したコベックエンジニアリングのパク・チュンギョン代表は「空気熱を活用すれば、このような問題はなくなる」と展望する。同社は空気熱ヒートポンプ関連の特許を多数保有している。龍山アイパークモールをはじめ、さまざまな産業に空気熱ヒートポンプの設備を構築した。

パク・チュンギョン代表は「空気熱ヒートポンプはエアコンを設置するのと似た原理で冷暖房ができる。水熱、太陽熱、地熱などと比べて空間の節約(30~70%)、構築費用の削減(20~30%)、維持費の削減(20~40%)、炭素排出量の削減(50%)効果を享受できる。すでにある建物でカーボンニュートラルを段階的に施行するために建物の冷暖房の熱源設備を部分交替する場合、唯一の代案になり得るのが空気熱ヒートポンプ。これを活用して、すでにある建物に対するカーボンニュートラルを達成する必要がある」と強調した。

ただ、空気熱は欧州連合(EU)、日本、中国などと違い、まだ韓国では再生エネルギーとして認められていない。

KTは空気熱が再生エネルギーと認められれば、コベックエンジニアリングとのパドナーシップを通じて事業に本格的に参入するという構想だ。KTは国土交通省の「ゼロエネルギー建築」が義務化される2025年から、こうした市場が爆発的に成長すると期待している。

◇効率的な省エネ期待

KTは空気熱ヒートポンプ技術を自社の「AI(人工知能)ビルオペレーター」と組み合わせる案を検討している。

AIビルオペレーターは、ビル設備自動化システムにAIアルゴリズムを融合させ、冷暖房設備を最適に制御する技術だ。AIがリアルタイムで分析し、建物内の必要なところに必要な分だけ冷暖房を自動的に稼動する。

KTは既に冷暖房設備を最適に制御する技術で、情報通信分野において新技術認証を受けている。

これに先立ち、KTはAIビルオペレーターについて光化門(クァンファムン)KTイーストビルをはじめとするLS龍山タワーなど6つの建物で実証し、10~15%の省エネ効果を検証した。さらに、効率的な冷暖房熱源設備まで適用すれば、冷暖房効果を維持しながらもエネルギーをさらに節約できるという説明だ。

KT融合技術院のハン・ジャギョン常務は「コベックエンジニアリングの空気熱ヒートポンプが手足だとすれば、KTのAIビルオペレーターは頭脳であり、効率的な省エネが期待できる。両社の技術提携の検証は既に完了した状態であり、事業化の可否は今後の市場の状況を見て決める」と話した。

©MONEYTODAY

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