
大手EC企業「クーパン(COUPANG)」の深夜配送をめぐる議論が韓国で加熱している。全国民主労働組合総連盟(民主労総)傘下の全国宅配労働組合(宅配労組)が「午前0時から5時までの配送を禁止すべきだ」と主張し、いわゆる「深夜労働撤廃」を訴えたことで、政界にも波紋が広がっている。
議論の発端は、2024年10月に当時の野党「共に民主党」の主導で発足した「宅配社会的対話機構」で、民主労総側が深夜配送の過酷さと危険性を理由に提案したことに始まる。以降、深夜配送の是非をめぐる論争が広がった。
しかし、当のクーパン配達を担当する委託ドライバーの多くはこの主張に反対している。クーパンの配達拠点ごとに構成された「クーパンパートナーズ連合会(CPA)」が所属ドライバー2405人を対象にした調査では、93%が「深夜配送の禁止に反対」と回答した。
クーパン側は、深夜配送の必要性を物流効率の面から強調している。朝7時までに届ける「早朝配送」の物量は特定エリアに集中しており、深夜帯の交通量が少ないため配達効率が20%以上向上するという。また、同じ時間で配達件数が増えることから、収入は昼間に比べて1.5〜2倍に上がり、配達員の満足度も高いとしている。
アンケートでも、配達員が挙げた深夜配送の利点として「交通渋滞が少なく、エレベーターも使いやすい」(43%)、「収入が高い」(29%)、「昼間に自由な時間を持てる」(22%)、「昼間の仕事がない」(6%)などの回答があった。また、70%は「深夜配送が規制されれば、他の夜間業務を探す」と答えている。
韓国労働組合総連盟(韓国労総)も「現実には生活のために働かざるを得ない労働者がおり、早朝配送を必要とする消費者も存在する」として禁止に反対の立場を表明した。CJ大韓通運などに所属する一般宅配ドライバー約6000人が加入しているとされる「非労組宅配連合」も、交通量の少なさや移動時間の短さ、作業負荷の軽さを理由に、民主労総の主張に反対している。
民主労総は「午前5時以降に出勤し緊急配送のみ対応するという案を提示したのであって、深夜配送を全面的に禁止する主張ではない」と主張を一部修正しているが、クーパン側は「0~5時配送の禁止自体が早朝配送の実質的な停止に等しい」として反論する。1人の配達員が100~200世帯以上を回る構造上、2時間以内に配達を完了するのは現実的に不可能だという。
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