「泣く顔フィルターアプリの名前は何ですか?」。最近SNSで笑顔を「泣き顔」にしてくれる拡張現実(AR)フィルターが人気だ。海外では「crying filter」(泣き顔フィルター)というハッシュタグとともに、このARフィルターで写真を撮ってSNSにアップする書き込みが増加。AR技術がZ世代の遊び文化として定着したとみられる。利用者が自分でフィルターを作ることもでき、クリエイター市場への拡大の動きも見られる。
このARフィルターの根強い人気で、モバイルAR利用者数も大きく増えると見られる。グローバル市場調査会社「スタティスタ(Statista)」によると、全世界のモバイルAR利用者は今年の11億人から2024年には17億人に増えるものと予想される。
韓国の大手ポータルサイト「ネイバー」の子会社スノー(Snow)が提供する同名のARカメラアプリが昨年11月、世界の累積ダウンロード回数が2億回を突破し、大きく成長している。国内での累積ダウンロード数だけで8500万件以上になった。
スノーをはじめとするARフィルターアプリは、利用者が単に写真を撮影することからさらに進化し、自分でARフィルターを作れるようなプログラムまで提供している。クリエイターは自分が制作したARフィルターをアップロードし、他の人と共有するもできる。
メタ(Meta)とティックトック(TikTok)、スナップチャット(Snapchat)はそれぞれ、スパークAR(Spark AR)、エフェクトハウス(Effect House)、レンズスタジオ(Lens Studio)など、多様な制作ツールを公開している。
韓国のARカメラ1位「アプリスノー」もやはり「クリエイタースタジオ」という制作ツールを提供し、利用者が自分でARフィルターを作れるようにしている。特にスノーは国内サービスであるため、利用しやすいという強みがある。
専門のプログラムを扱わなくてもスノーが基本的に提供する機能を活用して、自分だけのフィルターを制作することもできる。実際、多くの利用者が多様なアイデアで個性を生かしてフィルターを制作し、これを他の利用者と共有している。
このように多様な方法でスノーのARフィルターを制作したクリエイターは500万人を超えるとみられる。
ARフィルター制作のため、スノーとコラボしたケースも続いている。スノーによると、昨年、BTS、BLACKPINKなどKポップ歌手の熱心なファンがスノーとコラボし、約50件のフィルターを制作した。
ほとんどはアーティストの誕生日やデビュー日を記念するためのARフィルター制作依頼だったが、ファンが制作過程に参加し、新しいファン文化が形成されたというのが業界の見方だ。
コラボしたケースは、多様な方式の広告コンテンツにもつながっている。昨年4月、ネットマーブルとの共同広告で公開されたモバイルゲーム「第2の国」フィルターは、公開直後の1カ月間で、国内で約150万回、日本で約130万回使われるなど、多くの利用者が反応した。
消費者調査会社「オープンサーベイ」によれば、スノーとコラボして制作されたARフィルター広告は、利用者の間で「広告のようだ」(31%)というよりも、「面白い」(75%)という認識で、多様な広告コンテンツへの拡大も期待できる。
スノー関係者は「スノーは単にカメラ機能を提供するアプリを越え、利用者をつなぐプラットフォームを志向している。スノークリエイタースタジオなどの機能をより一層高度化し、利用者がさらに簡単で便利にコンテンツを制作できるよう、支援する計画だ」と話している。
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