米動画配信大手ネットフリックス(Netflix)オリジナルシリーズ「ザ・グローリー」は、校内暴力を扱った衝撃のドラマだ。これをきっかけにした校内暴力根絶の風は、韓国政府機関が集まる汝矣島(ヨイド)まで吹き込んだ。
校内暴力を巡っては、韓国国家捜査本部長に任命されたチョン・スンシン弁護士が、息子の校内暴力発覚を理由に直後に辞任に追い込まれるという事態も起きており、国会論議がより盛り上がっている。
◇数年間、国会で眠った法案
校内暴力根絶や再発防止のためにこれまで提出された法案は数年間、国会で眠っていた。校内暴力対策への考え方に関し、与野党が意見の食い違いを埋めることができず、政争に突き進んだためだ。
国会では教育委員会(教育委)を中心にして、いじめや性暴行、言語暴力、サイバー暴力など多様な校内暴力を根絶するための立法議論が活発になっている。先月、チョン弁護士の国家捜査本部長解任騒ぎが起こったことで、校内暴力に対する「無寛容原則」を徹底すべきだという声が上がり、与野党双方から支持が集まっている。
韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領は教育当局に対し、校内暴力根絶対策を指示し、教育省は対策を準備している。
校内暴力の根絶に向けた立法への取り組みも活発になっている。野党「共に民主党」のソ・ドンヨン議員は最近、「校内暴力予防や対策に関する法律」(校内暴力予防法)改正案を代表して提出した。
校内暴力の加害者に対する懲戒手続きに関し、被害生徒が法律的支援を受けられないでいる、という指摘を受け、一線の教育監が支援に関われるようにするための法案だ。
ただ、立法の成果に結びつけるまでには至っていない。与野党は「校内暴力を根絶しなければならない」と一斉に叫ぶものの、校内暴力根絶政策を裏付ける法案を巡っては、常任委などで互いに足を引っ張っている状況だからだ。
◇足踏み状態の立法成果
国会議案情報システムによると、2020年6月から同日まで、第21代国会で発議された学校暴力予防法改正案は計41件だ。このうち原案が可決された法案は1件にとどまる。これは、校内暴力事件の審議段階で、生徒の行動特性や児童心理について専門家の意見を聴くように定めた法案だ。
これは、過去の国会の立法実績と比べても低調と言える。学校暴力予防法関連改正案は18代と19代国会では4件が処理され、20代でも37件の法案のうち2件が通過した。昨年、校内暴力を受けた生徒数は前年(2021年)比で50%増の5万4000人に達し、問題はより深刻化している。だが、立法の成果は足踏み状態だ。
背景には、校内暴力の解決に向けた与野党のアプローチの違いがある。与党「国民の力」は、法的処罰の強化を通じて校内暴力を抑制すべきだと主張する一方、共に民主党は、処罰強化だけでは校内暴力の予防にはならないとし、双方が激しく対立している。
(つづく)
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