現場ルポ
韓国で、これまでの産業用中心のロボット市場の成長版図が、物流・清掃・医療・接客などを助ける「サービスロボット」に次第に移動している。生活密着型製品群を中心にロボット市場に進入した国内電子業界もいち早く市場拡大に対応している。
世界ロボット連盟(IFR)が公開した「世界ロボット連盟年次報告書」によると、2021年専門サービスロボットの新規需要は前年比37%増えた。同期間、産業用ロボットの新規需要増加率である31%より高かった。
詳細に見れば、接客に特化したロボット需要は85%以上増加し、運送・物流ロボットが45%、清掃31%、医療23%増えた。このような増加傾向に支えられ、サービスロボット市場規模は2019年310億ドルから2024年1220億ドルへと4倍ほど増加する見通しだ。
注目すべき点は、かつて自動車や半導体などの業種対象生産ロボット中心だったロボット市場の成長軸がサービスロボットに移っているということだ。高齢化社会への進入により、生産年齢人口と全体的な労働生産性が減少している状況で、サービス人材に代わるロボットの必要性が高まったためだ。
経営コンサルティング企業「ボストンコンサルティンググループ(BCG)」は、2025年になると、世界のサービスロボット市場規模が産業用ロボット市場規模を追い越す可能性もあると見通した。
ここ数年間、サービスロボットを中心に市場参入を試みている韓国電子業界も、新規発生するロボット需要に緊密に対応している。
最も先頭に立ったのはロボットブランド「クロイ(CLOi)」を拡張中のLG電子だ。現在、シェフボット、バリスタボット、キャリーボットなど生活密着型ロボット7種を中心に導入事業場と進出国を増やすことに熱中している。
今月に入って、日本最大のショッピングモールであるイオンモール(AEON Mall)にLGクロイガイドボットの供給を始め、16日には人工知能(AI)物流プラットフォーム企業であるパスト(FASSTO)と業務協約を締結し、LGクロイキャリーボットソリューションを活用した物流自動化サービスの高度化に乗り出した。
サムスン電子は初の医療用ロボット製品であるロボット「ジェムス(GEMS)」発売のタイミングを検討している。ジェムスはウェアラブル(着る)走行補助ロボットで、筋力が足りない一般人や高齢者、患者の歩行を補助したりリハビリを助ける役割をする。家事ロボット「サムスンボットハンディ」、インタラクションロボット「サムスンボットアイ」等、家庭用サービスロボットも開発中だ。
ロボット製品群の商用化時期が迫り、ロボット事業の人材も着実に増えている。今年、サムスン電子DX事業部内のロボット事業チームの人材数は、事業発足初期の1年前と比べると、人員数が10倍近く増加した。
ユジン投資証券のヤン・スンユン研究員は「世界的に労働力不足と人件費上昇が深刻になり、代表的な自動化設備であるロボットに対する需要が増加したと判断される。社会構造的変化に加えロボット技術発展に伴う人間・ロボット協同作業、ロボット活用法拡大が今後も堅調なロボット需要を導いていくだろう」と話した。
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