2025 年 10月 8日 (水)
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「検察庁廃止」憲法裁へ持ち込みか…韓国で激化する「検察は憲法機関」vs「憲法に規定なし」対立

2025年9月28日、ソウル市瑞草区にあるソウル中央地方検察庁(c)news1

韓国政府が検察庁を廃止する内容を盛り込んだ政府組織法改正案を国務会議(閣議)で議決したことを受け、検察内部や法曹界から「違憲立法」とする反発が強まっている。今後、憲法裁判所での争いに発展する可能性が高まっており、最大の争点は「検察庁が憲法上の機関かどうか」だ。

この改正案は2025年9月26日、与党「共に民主党」の主導で国会本会議を通過したもので、法案によれば検察庁は2026年9月に廃止される。これを受け、同年10月1日、イ・ジェミョン(李在明)大統領が主宰した第44回国務会議で議決された。

検察側は改正案に強く反発しており、大検察庁のノ・マンソク(魯晩錫)検察総長職務代行は前日に職員宛の書簡で、「憲法に明示された検察を法律で廃止することには違憲の疑いがある」と強調した。

歴代の法相と検察総長らも9月28日に「政府組織法の公布時に憲法訴訟を提起する」との声明を発表した。そのなかで、憲法第89条が検察総長の任命を国務会議の議題として定めている点、同第12条・16条で検事の令状請求権が明記されている点を挙げ、「これらは検察庁が三権分立のもとで準司法機関として存在すべきことを示す」と主張している。

しかし一方で、憲法には「検察庁」自体の明示的な規定がなく、単に「検事」や「検察総長」の存在が触れられているに過ぎないとの指摘もある。これを根拠に「検察庁の存廃は下位法である法律に委ねられるべき事項」とする見解も根強い。

実際、憲法裁判所は以前、ハン・ドンフン(韓東勲)元法相らが提起した「検察の捜査権縮小」関連の権限争議審判において、「検察庁法上の検事は憲法上の機関でない可能性があり、断定は困難である」との曖昧な判断を示している。

これに対し、憲法学者のチャ・ジナ高麗大学法学専門大学院教授は「検察庁は憲法で予定されている機関であり、廃止には憲法130条に基づく国民投票が必要だ」との見解を示した。国民投票を経ずに廃止を決めることは、国民投票権の侵害になるという論理である。

一方で、イ・ホンファン亜洲大学法学専門大学院教授は「検察官や検察総長という文言は憲法にあるが、それが具体的に何を意味するかは憲法上で明示されていない」とし、「法によって定めることが可能だ」と解釈している。

さらに、検察幹部が憲法裁判所に対し「権限争議審判」を求めるべきだという声も上がっている。パク・ジェオク水原地検検事正は検察内部網「eプロス」に「憲法が予定した機関である検察の名称を法律で変更・廃止することはできない」と投稿し、大検察庁に積極的な憲法訴訟の推進を求めた。

ただ、権限争議審判は国家機関同士の権限の有無・範囲を巡る争いに対してのみ適用されるため、大検察庁が単独で審判を請求する主体となり得るかについては異論がある。

チャ教授は「権限争議審判を請求するには、他の手段で解決できないことが要件となる。今回の件は法務部を通じた解決が可能であるため、法務部が請求すべき」と指摘している。

(c)news1

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