2025 年 6月 12日 (木)
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「本当の勝負」はこれから…尹錫悦前大統領と検察、長期戦の幕開け [韓国記者コラム]

2021年3月、退任式を終え、大検察庁を後にする当時のユン・ソンニョル(尹錫悦)検察総長(c)news1

国家権力の中枢を揺るがす真の攻防は、これから始まる。韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)前大統領に対する内乱罪容疑をめぐる検察との争いが、今後数年間に及ぶ本格的な法廷闘争へと突入しそうだ。

6月24日に予定される刑事裁判の第2回公判準備期日に、ユン前大統領は出廷を拒否する方針だ。これには「この裁判自体が無効である」という強硬な立場を強調する狙いがあると解釈されている。

すでに裁判所は2月、ユン・ソンニョル氏の「内乱予備容疑」に関する拘束を取り消した。その理由として、高位公職者犯罪捜査処(公捜処)の内乱罪捜査権の不明確性や、拘束期間の算定における問題点などが挙げられた。

特に裁判所は、その判断の中で1979年に当時のパク・チョンヒ(朴正煕)大統領を暗殺したキム・ジェギュ中央情報部長(当時)の内乱罪再審決定を例に挙げ、「将来的に再審の事由となる可能性すらある」と明記した点が注目されている。

この裁判所の発言は、検察に対して「ユン・ソンニョル氏の起訴は並大抵の証拠や理屈では通用しない」という、無言のプレッシャーと解釈されている。

法曹界関係者は「憲法裁判所の判断は、ユン・ソンニョル氏の弾劾の適否という政治的判断にとどまる。一方、内乱罪という刑事責任の有無は、冷徹な証拠と法理によって判断されるべき問題」と指摘する。

検察はすでにキム・ヨンヒョン(金龍顕)前国防相を緊急逮捕し、ユン・ソンニョル氏が非常事態を装って国家機能を掌握しようとしたとする「ビルドアップ型」の立証戦略を進めてきた。一方、ユン・ソンニョル氏側は一貫して「そもそも捜査と起訴自体が無効」との主張を繰り返している。

一連の争点の中心は、ユン・ソンニョル氏が発令を検討したとされる「非常戒厳令」にある。これは国民の基本権制限と軍の動員を可能にする非常措置であり、それが果たして「内乱罪」に該当するかどうかは、憲法裁判所ではなく、刑事裁判所の判断に委ねられる。

今後、内乱罪の成立要件である「国憲を紊乱する目的」や「国家権力の排除を目的とする暴動」といった法的解釈をめぐって、両者は法廷で徹底した攻防を繰り広げることになる。

憲法裁判所の弾劾判決は政権の行方に大きな影響を与えるが、それはあくまで序章にすぎない。

刑事裁判の場こそが、元検察総長であるユン・ソンニョル氏と、彼がかつて率いた検察との「本当の勝負の舞台」になるだろう。【news1 イ・スンファン記者】

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