「口コミで150万個以上売れました」
韓国のコンビニエンスストアCUでは、品薄で争奪戦となっている「ポケモンパン」よりも多く売り上げたパンがある。今年1月にCUが延世牛乳とコラボして新発売した自社ブランド(PB)「延世牛乳生クリームパン」だ。延世牛乳生クリームパンは今年4月だけでも100万個以上が売れ、CUのヒット作の地位に名を挙げた。
CUを運営するBGFリテール本社はソウル市江南(カンナム)区・宣陵(ソンルン)駅近くにある。そこの商品本部スナック食品チームデザート責任者がキム・ソヨン氏。延世牛乳生クリームパンをヒットさせた主人公だ。
キム氏は延世牛乳生クリームパンに個性的なアイデアを盛り込み、MZ世代らしさをアピールした。
食品栄養学科を卒業し、3年間、商品開発チームに勤めた。昨年末にデザートMDに席を移した。MDとしてのキャリアはわずか5カ月。だが、自らの手でPB商品を開発し、コンビニではこれまでなかったパッケージや味を実現したそのキャリアが、ベテランの風格をかもしだしている。
クリーム含有量を80%までに高める奇抜な発想の背景には――豊富なクリームを表現するため、果敢にも透明パッケージを放棄し、不透明パッケージを選ぶなど、思いもよらない反転のアイデアがあった。
「最初は、パッケージでパンを覆ってしまったら、誰が買うのかという内部の意見がありました。ですが延世牛乳のクリーンなブランドイメージと、豊富なクリームを強調するために、透明ではないパッケージを試しました。(このような果敢な挑戦が)マーケディングポイントに通じました」
延世牛乳生クリームパンの売り上げが150万個以上にのぼった要因として、口コミの影響をあげることができる。
一般的なお菓子やデザートはパッケージに描かれた写真とは異なる場合がほとんど。だが、延世牛乳生クリームパンは、実際にも写真と同じ量のクリームを含んでいる――こんな口コミが広がった。
「延世牛乳の香りと柔らかい食感が、製品によく反映されました。リーズナブルな価格で豊富なクリームを実現できたことも、150万個以上を売り上げた秘けつのようです。実際にSNSで“萌え断”(パンなどを半分に切った時の美しさが映える=断面映え写真)認証がたくさん上がってきました。お客様の反応は『写真で演出されたイメージと同じで驚いた』でした」
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