1970年代の韓国映画界を描いた新作映画「クモの巣」の公開が暗礁に乗り上げている。著名な映画監督である故キム・ギヨン氏の遺族が「ソン・ガンホ演じる主役の『キム監督』は、故人を否定的に描写し、その人格権と肖像権を侵害している」として上映禁止の仮処分を申し立てているためだ。
ソウル中央地裁で13日、キム・ギヨン氏の次男キム・ドンヤン氏ら3人が制作会社アンソロジースタジオなど4者を相手取って起こした仮処分申請の初めての審問があった。
遺族側は「『クモの巣』のキム・ジウン監督が、過去のインタビューで『キム・ギヨン監督をモチーフにした』と答えたという経緯がある。第76回カンヌ国際映画祭に『クモの巣』が招待された時、役名が現在の『キム監督』ではなく『キム・ギヨル』であり、眼鏡をかけてパイプをくわえている姿もキム・ギヨン氏を連想させる」と主張した。
これに対して制作会社側は「キム・ギヨン氏をモチーフにしたものではなく、伝記映画でもない」と反論している。そのうえで「1970年代の映画を自然とオマージュする中で、アルフレッド・ヒッチコック監督の『サイコ』やキム・ギヨン監督の『下女』の雰囲気が漂っているだけだ。外見も当時の映画監督たちの一般的な描写にすぎない」と説明した。
また、キム・ギヨン氏はソウル大学医学科を卒業し、デビュー作で勢いに乗ったが、映画のキム監督は助監督出身と描写され、違いは明らかだ――とも強調している。
制作会社側は、映画上映前に「特定人物と関係がない」という字幕を出すとしている。
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