
韓国の国家人権委員会は、携帯電話の新規開通時に顔認証を義務づける政府方針について、再検討と制度改善が必要だとする勧告を出した。
人権委は科学技術情報通信省に対し、国民の「個人情報自己決定権」を保護できるよう制度を見直すよう求めたと明らかにした。
顔認証は身分証の写真とリアルタイムの顔映像を照合し本人確認する仕組み。政府は金融詐欺などに使われる「名義貸し携帯電話」の流通を防ぐ目的で導入を進めている。制度は2025年12月23日に試験運用が始まり、2026年3月23日に全面施行される予定だ。
しかし人権委は、携帯電話開通時に顔認証を必須とする措置は個人情報自己決定権だけでなく、通信の自由や表現の自由、知る権利など複数の基本権の行使にも影響する可能性があると指摘した。
また現代社会では携帯電話が行政・社会・経済活動へのアクセス手段として事実上の必須インフラになっていると強調。そのうえで、顔画像から抽出される生体認証情報は変更が困難な極めて敏感な個人情報であり、流出した場合は被害回復が難しいと懸念を示した。
人権委は、生体認証情報の収集・利用・保管・廃棄の方法を国民に詳しく説明し、顔認証技術の安全性に関する情報公開や定期的なセキュリティ点検、その結果の公表を通じて国民の信頼を高める必要があるとした。
さらに、生体認証情報の取り扱いについて「電気通信事業法」など関連法令に明確な根拠を設けるよう勧告。高齢者や障害者、デジタル機器に不慣れな人など、生体認証が難しい利用者や同意しない人のために、顔認証の代替手段を用意することも求めた。
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