2025 年 6月 16日 (月)
ホーム社会「成果主義」で引き締め図る韓国ネイバー…成長促進か、強圧的文化への回帰か

「成果主義」で引き締め図る韓国ネイバー…成長促進か、強圧的文化への回帰か

米シリコンバレーで開かれたイベントで発表するイ・ヘジン理事会議長=ネイバー提供(c)news1

韓国IT大手ネイバーのイ・ヘジン理事会議長が、成果主義を掲げてグローバル成長に向けた攻勢を強めている。AI競争が激化する中、イ・ヘジン氏が主導する海外投資と新組織「ネイバーベンチャーズ」の設立は、生存戦略の一環とみられている。

一方で、社内では「成果中心の強圧的な文化へ逆戻りするのでは」との懸念も高まっている。

◇AIを軸に海外展開を本格化

イ・ヘジン氏は最近、米国や台湾などを相次いで訪問し、AI関連のグローバルアライアンスを強化。米シリコンバレーにはスタートアップを発掘・支援する投資法人「ネイバーベンチャーズ」を新設し、今月中に設立を完了する。

さらに、台湾では米NVIDIAのジェンスン・フアンCEOと会談し、国家レベルのAI構築(ソブリンAI)や大規模データセンターの展開について議論。今月3日には、ネイバー経営陣が米Netflixとも会合し、協業の可能性を探った。

インドやスペインなど新興市場にも進出するため、「テックビジネス部門」を代表直属で新設。AIを活用したヘルスケア領域の拡大も視野に入れている。

◇“レベル制”復活と側近起用に評価分かれる

成長ドライブは人事制度にも反映されている。イ・ヘジン氏の復帰後、ネイバーは年功に関係なく能力を評価する「レベル制」の再導入を決定した。これは、社員の実力に応じた報酬体系で、AI競争に遅れを取らないための刷新策とされる。

レベル制は2020年に導入が検討されたが、「社内競争の激化」への反発から撤回されていた。

また、5月に発足したテックビジネス部門の初代責任者には、創業メンバーでイ・ヘジン氏の側近であるチェ・インヒョク代表が起用された。チェ代表は過去、職場内いじめによる社員の死亡事件を受けて最高執行責任者(COO)を辞任した経緯がある。

この人事に対して、ネイバー労働組合は強く反発している。オ・セユン民主労総ネイバー支会長は「チェ・インヒョク氏は、圧力で成果を出すネイバーの強圧的文化の象徴だ。彼の復帰は、組織文化の逆行だとしか思えない」と述べた。

(c)news1

RELATED ARTICLES

Most Popular