2025 年 2月 22日 (土)
ホームエンターテインメント「息をするだけで叩かれた」…韓流女優の死が問いかけるもの

「息をするだけで叩かれた」…韓流女優の死が問いかけるもの [韓国記者コラム]

17日、ソウル峨山病院の葬儀場に設けられたキム・セロンの弔問所(c)news1

韓国の俳優キム・セロンは、人生の最後の数年間、まるで「息をするだけで」批判を受けていた。確かに飲酒運転は彼女の明白な過ちだったが、彼女に向けられた非難は飲酒運転にとどまらなかった。

自粛期間中、彼女が最も多く批判されたのは飲酒運転よりも「私生活」だった。彼女の行動一つ一つが問題視され、「生活苦を装っている」と揶揄されたり、「バーで遊んでいた」という目撃談が拡散されるたびにバッシングの対象となった。また、SNSに男性芸能人と撮った写真を投稿しただけで「炎上を楽しんでいる」と嘲笑された。

しかし、彼女の行動のどこに、これほどまでの非難を受ける理由があったのだろうか。キム・セロンは芸能活動を休止し、生計を立てるためにカフェで働いていた。成人として友人とバーで酒を飲むのも自由なはずだった。だが、彼女のすべての行動が大衆とメディアによって過剰に解釈され、「論争」として扱われた。

◇「自粛」とは何を意味するのか

芸能人が社会的な問題を起こした際の「自粛」とは、一般的にメディアに姿を現さないことを指す。犯罪を手掛けた人物が何事もなかったかのように活動を続けることは、罪を軽視する印象を与えるためだ。しかし、キム・セロンはすでにその「自粛」を実践していた。

近年、社会的な問題を起こした人物に対して「奈落に落とす」風潮があるが、その基準はキム・セロンには特に厳しかった。同じ飲酒運転や薬物事件、さらには未成年者買春といった「実際の被害者がいる犯罪行為」に及んだ男性芸能人が「作品で恩返しする」と復帰する一方で、彼女には再起の機会すらなかった。

彼女が自宅で死亡したと報じられた16日、Netflixではチェ・スンヒョン(薬物)、オ・ダルス(性暴力疑惑)、ソン・ヨンチャン(未成年買春)が出演する「イカゲーム2」が話題となっていた。一方、キム・セロンが出演していたNetflixドラマ「猟犬たち」は、2023年6月に公開直前、彼女の出演部分が大幅に削除された。

◇女性芸能人に対する「厳しすぎる」基準

韓国社会では女性芸能人には特に厳しい倫理基準が適用される――という指摘が多い。スキャンダルを起こした男性俳優は「演技力」で評価されて再起することが多いが、女性俳優は恋愛すらも欠点として扱われ、容赦なく追い詰められる。

キム・セロンは、幼いころから成功し、一気に転落した20代前半の女性という点で、特にバッシングの対象になりやすかった。彼女に向けられた攻撃や私生活の追跡は「集団的スポーツ」のようだった。

彼女は9歳でデビューし、生涯を芸能界で生きてきた。しかし、最後の数年間は、私生活が執拗に追跡され、何をしても叩かれる状況だった。その重圧は計り知れない。

彼女に向けられた非難の数々は、本当に正当なものだったのか。彼女の死をきっかけに、改めて振り返るべきではないだろうか。【news1 シン・ユナ記者】

(c)news1

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