2025 年 12月 4日 (木)
ホーム政治「帝王的な大統領」は青瓦台のせい?…“空間の呪い”という迷信を越えて

「帝王的な大統領」は青瓦台のせい?…“空間の呪い”という迷信を越えて [韓国記者コラム]

11月24日、政府ソウル庁舎から見た青瓦台(c)news1

「空間が意識を支配する」。これは2022年当時、大統領当選人だったユン・ソンニョル(尹錫悦)氏が述べた言葉だ。青瓦台という空間が大統領を「帝王的」にすると信じ、それを避けるべく執務室を龍山に移転した。国民により近い大統領になると誓った上での決断だった。

だが、現実はその逆だった。青瓦台を離れた大統領は、誰よりも帝王的だった。龍山の執務室は「不通(コミュニケーションの欠如)」の象徴となり、2024年12月には非常戒厳の前哨基地として使用される事態にまで発展した。結局、ユン・ソンニョル氏は自らの信念を自ら否定する形で政権を終えた。

空間そのものに罪はない。空間とは、それを占める人間の心と態度を映し出す鏡のような存在である。何百億ウォンを投じて移転を断行した時点で、ユン・ソンニョル氏は本質を見誤っていたのかもしれない。青瓦台が「帝王的」なのではなく、帝王的な態度こそがどんな空間でもそう見せてしまうのだ。

12月、大統領執務室は再び青瓦台に戻る。青瓦台では今年8月から一般公開を中止し、次期大統領の受け入れ準備を進めてきた。部署ごとの段階的な移転が予定されており、大統領公邸の移転はセキュリティ上の理由から2025年上半期になる見通しだ。

イ・ジェミョン(李在明)大統領の公約に従えば、世宗に新たな大統領執務室が建設されるまでの間、青瓦台を使用することになる。だが、政府は2030年までに世宗執務室の完工を目指しているため、イ・ジェミョン大統領は任期の大半を青瓦台で過ごすことになる。

青瓦台をどう使い、どう定義するかはイ・ジェミョン大統領の心と姿勢次第だ。過去の大統領たちのように権威と密室政治の象徴にしてしまうか、あるいは脱権威と疎通の空間に生まれ変わらせるかは、イ・ジェミョン大統領自身の選択にかかっている。空間とは単なる鏡にすぎず、それをどう映すかはそこに立つ者の在り方によるのだ。

青瓦台は罪を犯したことはない。問題は常に、その空間を占めた者の心と態度にあった。もし大統領に国民と向き合う意志と姿勢があるならば、この場所は「国民に近い空間」として機能し得る。今、青瓦台に新たな意味と価値を与える時間が始まろうとしている。【news1 ハン・ピョンチャン記者】

(c)news1

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