
韓国JTBCのドラマ『ソウルの家から大企業に通うキム部長の物語』に登場するシーンが、産業現場の安全管理職を軽視し、職務の尊厳を損なったとして波紋を広げている。
韓国の大韓重大災害予防協会は11月13日、公式声明を発表し、ドラマ製作側に対し公式な説明と謝罪を求めた。
問題視されているのは、俳優リュ・スンリョンが演じる主人公キム・ナクスが、社内の「インターネット速度問題」への対応に失敗したとして安全管理チーム長に左遷されるという場面だ。
協会は「安全管理職を処罰的人事の“閑職”のように描き、生命を扱う重要な職務を罰の手段として扱っている」と批判。「これは現実の職場でも繰り返されてきた“責任のなすりつけ”構造をそのまま踏襲した脚本だ」と指摘した。
また劇中では、安全業務を「犬のフン処理」や「トイレの詰まり解消」といった雑用のように表現しているほか、「安全チェックリストは適当に処理すべきだ」と登場人物に言わせるなど、職業倫理を軽視した描写も問題視された。
さらに、主人公が現場で安全に関する正当な指摘をしても、作業員らに無視されたり嘲笑されたりする場面が続き、専門職としての権威と必要性を否定するような演出だと協会は指摘している。
同協会のチョン・サンミン会長は「ドラマが現実を題材にした以上、その社会的責任も重くなる。だがこの作品は安全の価値を茶化して描いた。安全は左遷先ではなく、社会を支える基盤であり、現場は閑職ではなく命を守る最前線である」と強調した。
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