
北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記が特殊作戦部隊の訓練基地を視察し、女性の特殊部隊員の存在を異例に強調した。専門家は、男女を問わない「全人民武装化」路線の強調や、後継者と目される娘の存在を意識した国内向け演出との見方を示している。
党機関紙・労働新聞によると、キム総書記は人民軍総参謀部作戦局直属の特殊作戦訓練基地を訪問し、部隊の訓練状況を点検し、模擬訓練を視察した。
同紙は特に「自信に満ちた女性特殊部隊員の訓練ぶりを喜びの中で見守り、激励した」と伝え、女性隊員の存在を強調した。公開された写真では、キム総書記の周囲に主に女性兵士が配置され、男性兵士は周辺に位置する構図が確認された。
北朝鮮における女性特殊部隊員は極めて少数とされる。女性も17歳前後で入隊するものの、多くは通信や対空部隊、軍医施設などに配置されるのが一般的だ。このため、女性の特殊部隊員が大きく取り上げられるのは異例とされる。
過去にも女性兵士の存在が一部映像に映り込んだ例はあるが、今回のように明確に前面に出されたケースはほとんどないとみられる。今回公開された訓練では、女性隊員が男性と同様に格闘技などの実戦的な演練を披露しており、実戦投入を前提とした部隊である可能性も指摘されている。
こうした動きは、北朝鮮が掲げる「全人民武装化」戦略と軌を一にするものとみられる。キム総書記は先の演説でも、国防力強化のため人的・物的資源を優先的に投入する方針を示していた。
また、娘の後継者説との関連を指摘する声もある。キム総書記の娘は最近、軍需工場視察や兵器試験などに同行しており、軍事分野での露出が増えている。こうした中で女性軍人の役割を強調することで、女性指導者への心理的抵抗を和らげる狙いがあるとの分析も出ている。
韓国の専門家は「女性特殊部隊員の訓練を強調したのは、男女を問わず戦時体制を整える意思を示すと同時に、国内向けの政治的メッセージでもある」と指摘している。
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