
「大統領に当選しても、進行中の裁判は続行されるべきだ」と考える韓国国民が過半数を維持していることが、5月14日に明らかになった。最大野党「共に民主党」のイ・ジェミョン(李在明)候補が支持率トップを走るなかで、いわゆる「司法リスク」が引き続き政治的争点となっている。
news1が世論調査会社・韓国ギャラップに依頼し、5月12~13日に全国の18歳以上の男女1002人を対象に実施した調査によると、「大統領に当選しても裁判を続けるべきだ」と答えた人は52%に上った。一方で「当選したら裁判を中止すべきだ」との回答は45%、その他(無回答・分からない)は4%だった。
これは4月6~7日に実施された第1回調査(57%)、5月4~5日の第2回調査(52%)に続いて、3回連続で「裁判継続」を求める世論が過半数を占めた結果となる。
イ・ジェミョン氏は現在、▽大庄洞・白峴洞開発を巡る疑惑事件▽検事なりすましと偽証教唆事件▽第20代大統領選における虚偽発言事件(公職選挙法違反)▽双龍グループの北朝鮮送金事件▽京畿道知事時代の予算私的流用事件(業務上背任)――の5件の裁判を抱えている。
このうち、公職選挙法違反事件については、最高裁全員合議体が5月1日に一審の無罪判決を破棄し、有罪の趣旨でソウル高裁に差し戻している。ソウル高裁は当初、5月15日に初公判を予定していたが、選挙運動期間と重なることを考慮して6月18日に延期された。他の裁判もすべて大統領選後に審理される予定だ。
もし高裁が予定通り審理を進めて大統領選前に有罪判決を下していた場合、イ・ジェミョン氏は出馬そのものが不可能だった可能性もある。
これに伴い、民主党は憲法第84条に規定された「大統領の在任中不訴追特権」の明確化を図る刑事訴訟法改正案を国会の所管常任委員会で可決し、本会議採決を残すだけの状況にある。
さらに公職選挙法250条1項のうち、「行為」という文言を削除して虚偽事実公表罪の構成要件を緩和し、「免訴」判決を狙う法改正も進めている。免訴とは、刑事訴訟における実体的訴訟条件の欠如を理由に裁判を打ち切ることである。
この2つの法案はいずれも国会の法制司法委員会と行政安全委員会を通過しており、民主党が国会で多数を握る限り、本会議で可決される見通しが強い。仮にイ・ジェミョン氏が大統領に当選すれば、法案処理を即座に進める可能性がある。大統領の拒否権行使の懸念もないことから、成立は確実と見られている。
ただ、国民世論の動向を受けて、法案処理のタイミングを見直す可能性もある。いずれにしても、イ・ジェミョン氏にとって「司法リスク」は今後の政局を左右する重大な問題であり、大統領任期の初期どころか全期間にわたって影を落とす可能性もある。
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