現場ルポ
「体温測定後、手を消毒してバスに乗ってください。ティルブルフで留学生をもっと乗せてハーグに行きます」
ある韓国人の集団がオランダ・アイントホーフェンでバスに乗っている。道を歩いていたオランダ人たちは不思議そうに見ている。
のどかな週末の午前、遠足に行くような光景が見られたが、実はこのバス、ハーグにある駐オランダ韓国大使館に向かう“投票シャトル”。ハーグから100~500キロ離れた地域に住む韓国人を、韓国大統領選の在外投票の会場となる大使館に送り届けるのが役目だ。
オランダでは今回の在外投票に計1372人の有権者が事前登録をした。遠距離に居住する韓国人もより簡単に投票に参加できるよう、さまざまな援助が提供され、韓国人計77人が投票シャトルに乗ってハーグに向かった。
「車両による支援のため、1カ月前から韓国人による投票の需要を把握しました。新型コロナウイルス防疫規則を厳守し、遠距離に住む韓国人がバスに乗って投票に参加できるように協力しました」(アイントホーフェン在住の領事協力員、イム・ジヨンさん)
アイントホーフェンから大使館までは往復4時間(約200キロ以上)。公共交通を利用する場合、約50ユーロもかかる。だが投票シャトルの運行により、有権者は費用も運転の手間も省くことができ、それゆえ投票への関心も高まった。
オランダ各地で投票するために大使館を訪れた有権者の中には、若い人が多かった。
“人生初の投票”を終えたアムステルダム在住のキム・シンジさん(満18歳)に大使館前で話を聞いた。「親切な案内と迅速な投票プロセスが印象深かった」と微笑んだ。
アイントホーフェン在住で両親とともに初投票を終えたユ・シヨンさん(満18歳)は「民主主義国家の市民としての当然の権利であり義務だと思う」と振り返っていた。
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