
ソウル市江南区清潭洞で建設中のハイエンド商業施設「DYAD清潭1」が、当初の期待とは異なる姿で完成し、波紋を広げている。世界的建築家の設計により「江南のランドマーク」とまで称されたが、実際に公開された外観は平凡な商業ビルのような佇まいで、設計時のイメージとは大きく異なっていた。
「DYAD清潭1」はプロジェクトファイナンス(PF)融資の負担や建設費の削減を理由に、設計段階で提示されたデザインがほとんど反映されないまま施工された。
当初、この建築プロジェクトにはフランスの建築家ドミニク・ペローら世界的アーティストが多数参加しており、開発業者側は「海外の上流社会でしか味わえないプライベート・メンバーズクラブ」として高級イメージを強調。数億ウォン台の会員権を持つ者だけが利用できる“プレミア空間”として話題を集めていた。
しかし完成後に明らかになった建物は、広告に使用されたレンダリング画像(予想図)とは似ても似つかない直線基調の無機質なビルであった。外壁素材も高級建材ではなく汎用資材に差し替えられたとされている。
業界関係者によれば、開発業者は高金利のPF借入金の返済に追われ、当初の設計を維持するには数百億ウォンの追加コストが必要であると判断、やむなく設計を簡素化したとみられる。
さらに問題なのは、設計図と異なる完成品であっても、これに対する明確な制裁や規制がほとんど存在しない点だ。消費者や投資家に対して提示されたイメージが守られないままでも、法律上の罰則がないため、建設業界では「図面と現実の乖離」に対する制度的補完の必要性が指摘されている。
現在、施行会社は今月中に竣工を終える予定で、外観デザインの修正工事も併せて進めるという。オープンは来年上半期に延期された。
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