
韓米間で11月14日に発表された「共同ファクトシート」に「台湾海峡」や「一方的な現状変更への反対」といった中国を意識した表現が含まれたことを受け、韓中関係に新たな緊張要因が生じる可能性があるとの見方が出ている。
今回のファクトシートは、10月29日の韓米首脳会談で合意された関税・安全保障協力の成果を整理したもので、「同盟の現代化」「朝鮮半島の地域問題」「海洋・原子力パートナーシップ」などの安全保障分野における協力が明記された。
特に注目されたのが「台湾問題」に関する記述だ。ファクトシートでは「両首脳は台湾海峡における平和と安定の維持の重要性を強調し、両岸問題の平和的解決を促し、一方的な現状変更に反対した」と記されている。
この「一方的な現状変更に反対」という表現は、米国が中国を牽制する際に用いる常套句であり、主に「中国による武力統一」または「台湾独立による情勢の変化」のいずれも否定する意味を含む。中国は「一つの中国」原則を掲げており、他国による台湾への言及を「内政干渉」と見なす立場であるため、韓国の今回の立場表明にも不快感を示す可能性がある。
ただ、今回の表現はユン・ソンニョル(尹錫悦)政権下での2023年の「キャンプ・デービッド宣言」に比べて若干抑制されたものとなっている。前回は「力による現状変更に反対」という、より直接的な表現が使われていたが、今回は「力による」の文言が外された。これは韓国が米国との調整過程で自国の立場を反映させた可能性を示している。
ファクトシートにはこのほかにも、「航行の自由、上空飛行の自由、その他の合法的な海洋利用を保障し、すべての国家の海洋領有権の主張は国際海洋法に基づくべきだ」とする文言も盛り込まれた。これは南シナ海での中国の一方的な領有権主張を牽制する意図が込められていると解釈される。
11月1日には、慶州で開かれたアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議を機に、イ・ジェミョン(李在明)大統領と中国の習近平国家主席が会談し、文化・人的交流を含む7件の協力文書に署名。韓中関係の「全面的回復」の出発点と位置づけられていた。
しかし、専門家は、中国は韓国の外交基軸が米韓同盟にあることを承知しているとしながらも「台湾問題に関しては中国が最も敏感に反応するため、注意が必要」と指摘する。特に最近、中国国内では高市早苗首相による「台湾有事への関与」発言などに過敏になっているという背景もある。
韓国外大のファン・ジェホ教授は「今回の表現は比較的穏当で、中国が過剰に反発するほどではない」と述べ、「外交的には原則的な対応にとどまるだろう」と予測する。
また、梨花女子大のパク・ウォンゴン教授は「台湾に関する言及は米国側の要請であり、韓国が完全に回避することは難しい。重要なのは、一貫した表現により、韓米間の台湾問題に関連した我々の立場を維持することだ」と強調した。
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