2024 年 11月 24日 (日)
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「危機説」韓国サムスン電子…就任2年の李在鎔会長に突き付けられた「際立つリーダーシップ」という課題

サムスン電子のイ・ジェヨン会長(c)NEWSIS

韓国サムスン電子の危機論が強まるなか、イ・ジェヨン(李在鎔)会長が27日で就任2周年を迎える。イ・ジェヨン氏のこの2年間の経営についての評価は厳しいものがある。故イ・ゴンヒ(李健熙)前会長の技術中心のリーダーシップと比較して、イ・ジェヨン氏のリーダーシップは際立っていないとの指摘が出ている。

理由は複数ある。8年にわたる長期裁判によるスピード経営の欠如や、強力なグローバル競争相手の台頭だ。IT産業、とりわけ半導体を中心としたサプライチェーン市場の急速な変化や、未来のAI技術競争が激化する中、DRAM、ファウンドリ、システムLSI、スマートフォン、無線ネットワーク機器、家電などの事業を手広く展開するサムスン電子が「選択と集中」をできず、競争に後れを取っているのではないかという懸念が強まっている。

「父を超える」と宣言し、超一流企業へのさらなる飛躍を誓ったイ・ジェヨン氏に対し、技術中心の経営と責任あるリーダーシップを強化すべきだとの声が強まっている。

韓国の財界関係者はみな「サムスンは今、危機に直面しており、イ・ジェヨン氏が責任経営を実質的に示すべき時期だ」と言い、変革が急務だと口をそろえる。危機克服には、組織の大幅な改編、コントロールタワーの再建、そして人事刷新が不可欠だとの指摘が相次いでいる。

◇イ・ジェヨン氏の2年間の成果は「疑問符」…株価が示す成績

イ・ジェヨン氏は2022年10月27日の就任時、社内掲示板で「残念ながらここ数年間、我々は前進できなかった。新しい分野をリードできず、既存市場では競争相手の激しい挑戦を受けている」としたうえ「困難な時こそ、先を見据えて準備し、実力を磨くべきだ」と強調した。

だが、2年が経過した現在、サムスン電子の状況はさらに悪化している。先進的な半導体需要に対応できず、高帯域メモリー(HBM)市場では韓国SKハイニックスに遅れを取っており、汎用メモリー製品では中国企業の追い上げに苦しんでいる。

イ・ジェヨン氏は2019年に「半導体ビジョン2030」を発表し、2030年までにシステム半導体分野で世界1位を目指す目標を掲げた。だが、ファウンドリ市場では1位の台湾積体電路製造(TSMC)とのシェア格差が広がっている。ファウンドリとシステムLSIを含むシステム半導体部門は、2年連続で数兆ウォンの赤字を出しているとみられている。

サムスン電子は2024年第3四半期の暫定業績(売上79兆ウォン、営業利益9.1兆ウォン)が市場予想を下回り、市場に大きな衝撃を与えた。これにより、半導体部門長のチョン・ヨンヒョンDS部門長(副会長)が異例の謝罪文を発表し、危機を認めた。

◇コントロールタワーの欠如…財務中心の経営で超格差技術を失う

サムスン電子の危機には、構造的な問題も影響している。

サムスンにはかつて「コントロールタワー」の役割を果たしていた「未来戦略室」があったが、2017年のパク・クネ(朴槿恵)大統領(当時)の友人によるいわゆる「国政介入事件」を受けて解体され、現在は系列会社の自律経営体制に移行している。サムスン電子(事業支援TF)、サムスン生命(金融競争力強化TF)、サムスン物産(EPC競争力強化TF)がそれぞれタスクフォース(TF)を設置し、系列会社を管理しているが、これまでのように全体を統括する組織は存在しない。

このような構造の中、過去7年間、チョン・ヒョンホ副会長率いる「事業支援TF」の影響力が強まった。財界では、財務出身のチョン副会長が積極的な技術投資よりも現状維持を重視し、サムスンが技術力を失ったとの評価が出ている。

◇イ・ジェヨン氏の登記取締役復帰が急務…司法リスクの解決も重要

イ・ジェヨン氏は、韓国の5大財閥総帥の中で唯一、未登記の取締役であり、この点がリーダーシップの欠如に影響している。財界では、イ・ジェヨン氏が責任経営のために登記取締役に復帰し、グループのコントロールタワーを再建すべきだとの意見が強まっている。

最近、サムスンコンプライアンス監視委員会のイ・チャンヒ委員長も「サムスンは四面楚歌の状況にあり、最高経営者の登記取締役復帰など、責任経営を実現するための革新的なガバナンス改善が必要だ」と述べた。

ESG(環境・社会・ガバナンス)評価機関「サスティンベスト」のリュ・ヨンジェ代表も「イ・ジェヨン氏が登記取締役に加わり、重要な意思決定に直接参加する必要がある」と指摘している。取締役会は企業にとって重要な意思決定をする場であり、意思決定権を持つ人物が会議に出席しないのは、責任のない権限を意味するとしている。

◇技術中心の人事刷新が必要…年末の人事に注目

サムスン電子がこの危機を克服するには、技術中心の人事刷新が必要だという意見が強い。組織再編だけでなく、サムスンの主力事業である半導体分野での長年の経験を持つ専門家を社外取締役として迎え入れる必要があるとも指摘されている。

サムスン電子の社外取締役は6人で、そのうち2人は元官僚、1人は元銀行役員、2人は大学教授、1人は金融専門家だ。これに対し、競合企業「TSMC」の社外取締役は、元グローバル企業の経営者5人、元MIT総長、元台湾行政院長で構成されている。

リュ・ヨンジェ氏は「現在、サムスン電子の社内取締役は、新技術への大規模投資を決定するのに困難を感じている」と説明する。

どれだけ有望な技術であっても、大規模投資が失敗すれば、社内取締役が責任を取って辞任しなければならないため、慎重にならざるを得ない。

一方、任期が保証されている社外取締役はリスクが少ないため、より大胆な決定ができるという。また、リュ・ヨンジェ氏は「サムスン電子の社外取締役のプロフィールを、世界最高レベルの技術専門家に強化すべきだ」と強調している。

サムスン電子は年末に大幅な人事と組織再編を予定しており、例年12月初旬に発表される役員人事が、今年は11月中旬に前倒しされるとみられている。

(c)KOREA WAVE

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