超高齢社会への突入を目前に控えた韓国社会で、若い人口に合わせた「医療均衡」はまもなく崩れる。
本「老後のための病院はない」(ブックトリガー)の著者は、韓国医療界が経験してきた、本格的に経験することになる大混乱状態の氷山の一角であることを明らかにしている。
薬剤師の著者は、韓国で医師1人が1日平均患者58.3人を診療するという統計分析から書き始めている。著者の分析によると、韓国と経済規模が大きく変わらない主要先進国で、この数値はたった8.1人だ。
著者の比喩を借りれば、今私たちは10人乗りエレベーターに60人を乗せて下降するわけであり、ある意味それよりも危険だ。
こうした歪んだ構造でもそれなりに機能するが、この奇異な平衡状態は長続きしない。韓国が過去の予想よりさらに急速に老いており、その崩壊は早まっている。
このような状況で、現在の医療政策は当然若い人口に頼って辛うじて均衡がとれた状態だと著者は言う。
著者は同書で、見た目は華やかな最先端総合病院の陰でどんなことが起こっているのか。看護師間の悪習慣、嫌がられる科、診療補助人材、短くなる診療、増える検査時間などの問題を暴いている。
他の国では見られない「三食薬包装」方式で代表される韓国薬局の服薬指導省略、私が行きたい病院を選んで私が行きたい時に行く病院選択の権利が変質した医療ショッピング、ソウルインフラを確保しようとする医療人の地方忌避、それに伴う地方医療危機などを調べる。
超高齢社会を目前に控えた状況で描くことのできる、未来の韓国医療シナリオと実現可能な解決策も提示している。
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