北朝鮮が新型コロナウイルスとの「最後の戦場」になる可能性もあるという分析が出た。北朝鮮は依然、感染者はいないと主張しており、ワクチン接種も始めていない。
AP通信は27日、北朝鮮が最近、国境を一部開放すると同時に、米国を軍事的に圧迫する「分裂したメッセージ」を送っていると指摘。「これまで厳しい状態に置かれていた経済が、パンデミック(世界的大流行)によってさらに悪化していることを悟った、という信号かもしれない」と表現している。
韓国・国家安保戦略研究院のイム・スホ研究委員はAP通信に「北朝鮮が新型コロナとの戦争で地球上で最後の戦場になる可能性もある」と述べた。
イム研究委員は「アフリカの最貧国さえも、外部的な援助とワクチンを受け、感染による免疫力を確保している。だが、北朝鮮は実質的な計画のない唯一の国だ」と強調する。
北朝鮮は新型コロナ発生以後、2年近く国境を封鎖している。世界保健機関(WHO)によると、北朝鮮当局は自国内に感染者1人もいないと報告してきた。COVAX(ワクチンを共同購入し途上国などに分配する国際的な枠組み)が支援するアストラゼネカなどのワクチンも拒否してきた。
AP通信は、北朝鮮指導部が2年間の深刻な孤立と経済的衰退を経験した後、今後、数年間続く可能性のあるパンデミックに、より持続可能な方法で対処する案を模索中だと分析した。そのうえで「北朝鮮が段階的な国境再開放を追求する可能性が高い。それならば、より大きな危険があらわれれば、迅速な閉鎖が可能になる」と分析する。
韓国・統一研究院のホン・ミン研究委員は「これまで北朝鮮が国連提供のワクチンを嫌がったのは、国際的な監視の受け入れに対する不安を反映したものかもしれない。北朝鮮が段階的に貿易再開を進めつつ、国境地域の労働者、役人、軍人の予防接種のため、中国とロシアに支援を要請するかもしれない」とみる。
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